新卒で証券会社に入社して1年間で100件以上の新規開拓を達成し、3億円の資金を導入した話(9)
よろしければ、アンケートに答えていただけませんか。決して、商品の売り込みはございません。
僕はとにかく税理士に電話をかけまくった。
今までの電話営業は、相手が営業の電話と察知すれば、すぐガチャ切り。
話を聞いてくれる人なんてまずいなかった。
だけど、今回の電話はあくまでもアンケートが目的。
電話が代表の税理士先生に繋がれば、「○○証券の福元です。このたび、群馬県高崎市の税理士先生に対して何かお役に立てることはないか、何か困っていることはないか調査をさせていただいております。よろしければ、アンケートに答えていただけませんか。決して、商品の売り込みはございません。」と伝えた。
日本人は、何かを売りつけられると思えば身構えるが、ただのアンケートだと思ってくれれば結構簡単に答えてくれる。
極力、時間が許せる限り、アンケート用紙を持ち歩いて直接アンケート記入のお願いに回った。
それまで嫌だった飛び込み営業もしまくった。
いきなり飛び込み営業が来ると、最初は受け付けの方や税理士の方は嫌そうな顔をするが、僕が本当にアンケートのお願いに来ただけなんだとわかってもらえると、意外とみんな時間を作ってくれる。
このインターネットの時代によくこれだけ走り回るな、と笑われるくらい営業に回った。
僕は、毎日色んな税理士事務所に顔を出した。
話を聞いてくれる税理士がいたら、「同じようにアンケートに答えてくれそうな税理士先生を紹介してもらえませんか?」と頼んだ。
商品の売り込みをしているわけではないので、税理士も気軽に紹介してくれる。
そして、その紹介してもらった税理士にも、同じように紹介をお願いすれば、また紹介がもらえる。
僕のアンケート用紙はみるみるうちに数十枚も溜まっていった。
アンケートの内容はシンプルだ。
・今困っていることを教えてください。
「 」
・証券の困りごとがあれば、教えてください。
「 」
の2問。
今困っていることを教えてくださいの欄には、
・顧問先の数が少ない
・従業員のやる気がない
・忙しすぎる
・好きな女性の誘い方
など。
証券の困りごとがあれば、教えてくださいの欄には、
・証券税制が良く分からない
・株式取得価格の計算方法
・NISA(少額投資非課税制度)の細かいルールについて
・外国株式の確定申告
など、証券に関する税務の疑問がわんさか集まった。
どうやら、証券税制は税理士にとってもなじみが薄いらしく、普段扱わない分野のようで、わかりづらいことが多いようだ。
僕はとにかく、税理士の役に立つように動いた。
従業員のやる気がないと愚痴をこぼす事務所には、トヨタの従業員のモチベーションを上げる方法等をまとめて渡した。
忙しい事務所には簡単な作業を手伝った。
税理士事務所の顧問先の新規開拓を手伝ったりもした。
女性関係の相談にも乗ったりして、雰囲気の良いお店なんかを一緒に探したりもした。
ただ、一番僕が目を付けたのは、証券の困りごとである。
税理士は証券税制が苦手なんだ。
幸い、証券会社には証券税制に関するレポートやパンフレットがたくさんある。
証券税制について僕が詳しくなっておけば、もっと税理士の業務のお手伝いができるのでは?
そしたら、もっと仲良くなれるかも?
社長も紹介してもらえるようになるか?
安易だが、僕はそんな理由で証券税制の勉強を始めた。
そして、少しずつだが、○○証券の福元が、群馬県高崎市の税理士の間で噂になっていた。
続く
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