いじめっ子への逆襲!5歳の私と「マンション☆SAKU」③いじめっ子に勝った!そこから学んだこと。
ついにその日はきた!誕生日会当日。
誕生日当日、いじめっ子たちが我が家にやってきた。
安物の駄菓子やスナック菓子を、家でとっておいたと思われるよそいきのお菓子の包装紙でラッピングし、ヨレヨレのリボンをくっつけたプレゼントを手渡された。
いじめっ子たちは母が作ったサンドイッチやちらし寿司、手羽先の唐揚げなんかをムシャムシャ食べ、当時一等美味しいと言われていた、リリハのチョコレートケーキを旨そうに食べていた。
『uniちゃんの家おしゃれやね‼︎』などと言うので、あたりきよ‼︎と心の中で舌を出しながらも冷静な顔を装い『そんなことないよ、普通よ。』と返事をし、ステレオに用意していた古賀メロディーをかけた。
ボス『なにー?この曲‼︎キャンディキャンディとかないん?』
ボスだったいじめっ子が茶化すように言ったが、視線は明らかにキョロキョロしていて、落ち着かない様子なのがバレバレである。
『これはね、古賀政男って作曲家が作った曲で古賀メロディーっていうの。知らなかった⁉︎有名な作曲家なんよ‼︎』
母の受け売りそのままに余裕を漂わせながら言ってみた。
するとボス以外の中ボス、子分たちが感心したように言ったのだ。
『へぇ‼︎すごい‼︎有名な曲なんやね‼︎』
ボスは黙った。
そして今度は武者小路実篤の書が書かれた額を指差して言ったのだ。
『これはね、武者小路実篤って人が書いた有名なことば。愛しあい、尊敬しあい、力を合わせる。それは実に美しい事だ。って書いているの。』
これも予習しておいた受け売りそのままに説明してみた。
『へぇ‼︎uniちゃんよく知ってるなぁ!すごい‼︎』
ボス以外の子どもたちは興味津々といった様子でそう言ってくれたが、ボスはブスっと黙ったまま、オレンジジュースが入ったグラスに刺されたストローをガシガシ歯で噛んでいた。
そしてこの誕生日会をきっかけに。
翌日からは皆が私をいじめなくなった。
ボスが私をいじめようとすると、中ボスとその子分たちが逆に庇ってくれるようになったので、しだいにボスも私に嫌がらせをするのをやめた。
いじめっ子たちに私は勝った。
自分で自分を守ることに成功したのはわずか5歳だった私である。
しかし、武者小路実篤が残したあの言葉はまるで違うことを教えようとしているものだったと気がついたのは、それから後、随分経ってからであった。
私も本当に辛い毎日だったが、私がいじめっ子たちにしたことも褒められたやり方ではないのかもしれない。
恥ずべきことを自分もしていたと気がついたとき、武者小路実篤は私にとって特別な存在になった。
『マンション☆SAKU』で暮らした数年間は今も忘れられない。
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