何故、女性が苦手なのか閉じていた記憶の蓋を開ける事にした。<その2>

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寒い2月の夜でした。

どうしてもTさんだけには自分の潔白を証明したくて・・・好きな人には信じてもらいたいという気持からの行動でした。従業員駐車場で車を止めて待っていましたが・・・何時間待っても残念ながら彼は現れませんでした。諦めて帰ろうとエンジンを掛けたその時、精神的に参って休んでいるはずのKさんの車が従業員駐車場に入ってきました。

思わず私は車のエンジンを切りフロントガラスから自分が見えないように、自分の運転席の座席を倒せるだけ倒しました。息を殺して、心臓がどんどん早くなっていったのを今でも覚えています。頭の中に「何故」が沢山でてきました・・・。


何故彼女がここにいるの??

1時間半運転席のシートを倒したまま待ちましたが、彼女もいっこうに出て行く気配がありません。時計は夜の23時を過ぎてしまいました。余りにも寒く、空腹にも負けそうだったので諦めて、帰る決意をしました。そしてきっとTさん、彼は来ないだろうと。


私が従業員駐車場に居たという事に、Kさんが気がついていない事を願って・・・

勇気を振り絞りエンジンを掛け、一目散に従業員駐車場を後にしました。

ほんのすこし車を走らせ、凄く複雑な思いで近くのコンビニの駐車場に車を止めました。

コンビニでおにぎり1個とお茶を買い車に戻り、余りの空腹と極度の緊張からその場から動く事ができませんでした。時間は23時半を回っていました。エンジンを掛けて帰ろうとしたその時、運転席の窓ガラスを叩く音で我に返りました。


コンコン。

一瞬状況をつかめませんでした。そして同時に余り恐怖に私は氷ついてしまいました。

そうです。窓を叩いてのはKさんでした。あの精神的に参って会社を休んでいるはずのKさんが窓の外にたっていたのです。

Kさんは「・・・ちょっと窓を空けてくれるかな」と言っています。運転席の窓はしまっているのにも関わらず、Kさん声ははっきり聞こえました。防衛本能から、思わず私は右手を耳に押し当て「え?なんておっしゃいました」的な”聞こえないふり” をしてしまいました。


そしてKさんは再度大きな声で


「ちょっと窓を空けてくれるかな」

フラッシュバックのようにその時イメージが鮮明に思い出されます。一瞬たじろいでしまい、窓を開ける事ができませんでした。一呼吸置き窓を開けると


「ちょっと出てきてくれるかな」


え?!

真冬の2月。夜23時半を回ったコンビニの駐車場で私は車から降り、Kさんの後を付いて行きました。無言のままKさんはコンビニの裏にある薄暗い空き地へ私を連れて行きました。寒さからなのか恐怖からなのか歯がカタカタ鳴り始めました。



私は無言でついていくと、Kさんは振り返り


Kさん
ストーカーみたいに、もう彼の後を追い回すのは辞めてくれる
えっ?私がストーカー・・・後を追い回す・・・
Kさん
そう。ストーカー。彼は凄く迷惑しているの。ロッカーの件でも私も本当に迷惑しているし、辻さんが会社にいることで本当に私達迷惑しているの。だから本当に私達の前から消えてくれない?
Tさんが迷惑しているってTさんが言ってんですか?
Kさん
そう。彼が迷惑って言ってるから。
そうですか・・・。でも私はKさんのロッカーを荒したりしていません。無実です。それは信じて欲しい。
Kさん
その話しは私達にはもうどうてもいいの。ロッカーを辻さんが荒したかどうかなんて。それより彼の後を付け回すを辞めて欲しい。それだけ!!
そんな。店長を巻き込んで犯罪だっていったのに、どうてもいいだなんて酷い・・・無実の私はどうなるんですか?・・・・・。今日私は駐車場で待っていると知ったのは、Tさんから聞かれたんですか?
Kさん
そんなの私達には関係ないし、彼から迷惑だっって聞いたから私が代わりにここに来たの。だから彼はの事は諦めて。私達結婚前提に真剣に付き合っているから
え・・・結婚前提にですか?・・・

結婚を前提に言われ、そして私はストーカーになっていたのか・・・自分でも自分が分からなくなりました。本当に彼が迷惑しているのかも知れない。知らない間に私はストーカーと思われていたとは本当にショックでなりませんでした。



Kさん
だから、もうこんな風に駐車場で待たないで。本当に迷惑だから。じゃ、私は帰るから。
ちょっと待って一方的に帰るって、私の無実はどうなるんですか?
Kさん
そんな事私には関係ないし。とりあえず私達が迷惑しているの。本当に。もうこんな風に待たないでね。

一方的に会話を終わらせKさんは私を残して帰っていきました。


私自身がノイローゼになっているのか?本当にストーカーになっていたのか、分からなくなってきてしまいました。でも確実に事はロッカーは荒らしていないという事。でも残念ながら信じて欲しいTさんには説明する事もできませんでした。悔しくて悔しくてその場にしゃがみこんでしまいました。


もうすぐで日付が変わる。コートも着ずに話していた私は、余りに寒さに身震いが止まりませんでした。コンビニの駐車場に戻りエンジンを掛けずっと我慢していた涙がポロポロでて来てしまいました。ポロポロ涙を流しながら、冷たくなったオニギリをほうばりました。


もう、諦めよう。


そう決意しました。エンジンを掛け無言で家に帰りました。そして一目散へお風呂に行き、湯船で声を殺してワンワンないてしまいました。

明日もバイト・・・と学校だから寝ないといけない。でもこんな気持ちのまま寝る事はできませんでした。ストーカーと思われていた事にショックでどうしても気持ちを伝えたく、電話の子機をとり、Tさんのポケベルの番号をプッシュしていました。


Kサンカライワレマシタ。ストーカートオモワレテイタトハシラズゴメンナサイ。


果たしてこのメッセージもストーカー扱いで読んでくれないかも知れない。でもどうしても最後にメッセージを送りたくプッシュしていました。どうしても謝りたくて・・・。打ち終わると電話の子機を静かに置きました。


これで私の片思いは終わったと思いました。


それが、数日後、なんとTさんからポケベルへ返事があったのです。その返事には「一度話しがしたい」と。余りの嬉しさに飛び上がってしまいました。と同時に、Kさんと過ごした真夜中の空き地の夜を思いだしました。

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何故、女性が苦手なのか閉じていた記憶の蓋を開ける事にした。<その3>

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