「私は何かになりたいのではなく、一度ちゃんと自分になりたい」 自分自身と再会するまでの話1⃣

28歳の9月末。

新卒で入社して6年半勤めた会社を辞めた。

とっても素敵な先輩や同期に恵まれて、たくさんチャレンジさせてもらえる環境だったけど。


ある時から、自分の人生を自分の力で生きてみたくて

その声に従うことにした。


辞めた翌日、ハワイに向かった。

まだぼんやりしている「やりたいかもしれないこと」を形にするために。

忙しすぎた自分を、もっとシンプルにするために。


そこで見てきたもの。考えたこと。ぶつかった壁。

自分を知ったこと。


ハワイでの自分との対話や出会いを通して

私は自分のやりたいことを持って帰ってくることができた。


だけど。

光が見えるまではすっごく痛かったし、怖かった。


自分の人生を生き出す時は、

同時に痛みも怖さも伴う。


それでも決めた以上、自分の情けなさと向き合って

進んでいかなくちゃならない。


そんな風にもがいてもがいて、

それでも自分を見付けて、帰ってこれた話。


目標に向かってスタートできている今、

そのことをまとめていってみたいと思います。


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【出発の日】

2015/10/3


前日までいつものようにバタバタと仕事をし、

最後まで気がかりなものを残したまま

レイアウト変更でざわついたオフィスで仕事を終えた。




今思うと、

それまで見慣れた景色をもう見れないと寂しくなるのは分かっていることだから、

無理矢理にでも見えている景色が変わったことは良かったのかもしれない。


お疲れさま、行ってらっしゃい!と飲んで送り出してもらった翌日、

急いで荷造りをしてその足で空港に向かった。



まるで実感が無いまま、皆に行ってくるね!と連絡をしながら、

気付いたらあっと言う間に空港にいて、

あっという間に搭乗の時間になっていた。



いつも始まりの予感がして大好きなはずの空港なのに、

これからどこかに行く人たちの高揚感と

外を実感させる英語のアナウンスにいつもはこころが踊るのに、

なぜかいつものようにはワクワクしなくて、

一体どうしちゃったんだろうと思った。






飛行機が飛ぶために最後に加速する瞬間は、

いつもいつも自分はまるっきり自由だと実感する。

自由すぎて少し寂しさを感じるほど。



けれど、それでもそれを自分の可能性だと感じることができるのは、

大事な人たちがいるからなんだと今回も実感する。



どんどん離れていく下の景色を見て、ここに大事な人たちがいるのか、と思う。



帰ってくる場所があると思えるのは、ここが生まれた場所だからではない。

気持ちを交わし合える人たちが沢山いる場所だから。



夜景がどんどんと小さくなって

そろそろ雲を抜けるから見えなくなるという時、

住んでいる場所はこんなに広かったのかと思う。

こんなにたくさんの人がいる中で

大事に思える場所と人に出会えたことは本当に奇跡。

旅が好きなのは、

飛行機に乗るとそんな風にシンプルに大事なものを大事だと思えるから。






飛行機に乗っている間は、ほとどんど寝ない。

その状態のまま、私は何がしたいんだ?と考える。

どこかに向かって移動しているときに、良い答えが出ることが多い。



なのに今回は、ほらここから私の人生が変わるんだよ、と思っても

いつものようには言葉は浮かんでこなかった。





どのくらい寝ていただろう、

気付いたら機内の電気が消えていて夜になっていた。

ふと目が覚めたとき、閉じていた窓を開くと雲の上で朝がくる時間だった。



青とオレンジが混ざる時間。思わずあっと息を飲む。



そうか私は遠くに来ているんだ。遠くに行こうとしているんだ。

私が座って向いている方向に、

元いた場所から毎瞬毎瞬離れていく。

何時間もかけて。



もう一度窓を開けると、

気付けばもう外は青とピンクの時間になっていた。


そうか、私は、自分の意思で一つ終わらせたんだ。

そうして、次に行くんだ。




離れていくほど、

応援してるよと言ってくれる人たちの顔が浮かんだ。

一人になりに行くのに、その度に一人じゃないってことに気付く。



離れることで、大事な人たちの存在がはっきりしていく。

そのことで、私は終わったことを少しずつ実感していく。



近くにいたら我がままからの要求も出てきてしまうこともあるけど、

そんな思いがどんどん落ちて大事な気持ちだけが残る。





機内にも朝が来た。

嬉しいな、とそっと思った。

自分の意思で動くことができたんだ、と恐る恐る思う。



自分で創っていくという挑戦を選択できた自分に、安心する。

これで人生最大の後悔はしないですむから。

私にとって一番後悔するだろうことは、

自分を信じず挑戦しないこと。

だから、私自身のために自分を信じることにした。

そうしないと怖かったから。


自分が一番後悔しない道を考えたら、この選択だった。





自分一人でスタートする不安はもちろんあるけど、

めちゃくちゃ怖いけど、

その不安と死ぬ前の後悔を比べたらこの選択だった。





もう少しで到着する。

気付いたら出るようになっていた言葉をノートに急いで落とす。



どんな毎日が待っているんだろう。どんなことを考えるんだろう。


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