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16/2/17

アリゾナの空は青かった(8):危うし!挫折(2)

Image by Olia Gozha

クラス全員に手渡された一冊の分厚い本、「Travelwith Charley」にわたしは呆然とした。

本の内容を知るためには、たとえ牛歩の歩みのごとくであっても、辞書を片手に読んでいくしかないで。
金曜日、週末の誘いの電話もうわの空、同居人のロブは少々スネているとて、すまない。週末明け、テストとあらばそれど頃ではないのである。

帰宅してすぐ読書にとりかかった。そして知った己の語彙力のなさ。まことに牛歩の歩みなのだ。そして、こんな時に、「待てよ、してみるとカタツムリも漢字でかくと、牛の字が入るなぁ。しからばこの場合、牛歩じゃなくて蝸牛の歩みか」などと、情けないことを思い起こしたりしているわたしではあった。

牛歩であろうと、蝸牛であろうと、投げ出すことはできなかった。

こんな状態ででどうやってテストに臨めるか。考えました。
そしてわたしがしたことは、単語はもういいや!分からなくてもとにかく最後まで通しで一度読破すること、これで行こう!

するとです、分からない部分が殆どなものでドンドン飛ばして、一回目は辞書なくして意外とスムーズに終わった。これがスムーズと言えるのか、と自問する。

うむ。しょっちゅう出てくる単語があるぞ。これらは気になるから、調べてみよう。2度目はそういう単語のみ辞書をひき、他は分からないままにして読み進んでいくのであります。最後は、辞書なしで初めと同じように3度目を読み終えた日曜日の夜、「ふむ。要は、スタインベックがチャーリーと言う名の犬を連れて、トレーラー車でアメリカ中を旅して、行き先々でいろんな人に出会い、その体験をああだらこうだらと書いているのだな。それぞれの場所場所でスタインベックの人間観察と人生観を捉えればいいのだ」と、なぁんとなく分かった気がしてきた。実にいい加減なものです。

こうして臨んだ月曜日のテスト、これが思いの外、良い結果が出たのした。Mrs.chisholmが採点した答案用紙を手渡されたときの、あの一言。「Excellent!」 うひょひょひょひょ。 実に爽快でありました。「おバカ。週末くらいリラックスしなよ」の同居人ロブの言葉に背を向け、それを返上して勉強した甲斐があったというものだ。

以後わたしはこのやり方で、テキストを読みこなしていきます。そして、この「Excellent!」の結果に気をよくして、Mrs.Chisholmのクラスに留まるのでした。ESLのコースが終わる半年後、わたしがもらったReading Comprehensionの評価はAでありました^^ えへん。

ない頭も、必死に考えをめぐらして方法を編み出せば、突破口はできる。わたしの例がそれです。それにしても立派なのは、わたしの弱音を安易には受け入れず、冷たい素振りでチャレンジを促したMrs.Chisholmです。彼女はアメリカインデアンと白人の血をひいていると聞きました。

上でエヘンと威張ってみたものの、この評価「A」は、「実質は伴わないけれども、努力」の部分が多分に含まれた成績、額面どおりではあるまいと、わたしは自覚している。  

因みに、こんなのは正方でないのを重々承知の上で言うのですが、わたしがポルトガル語で歴史を読む時には、今もこの方法を使います。始めにざっと読む。辞書を手に取り読む。最後はもう一度、ゆっくり読む。

すると、あな不思議。なぁんとなく分かってくるのです。もちろん、素っ頓狂な間違いも時にありますが、
それはご愛嬌ということで。
うむ、やっぱりいい加減か。                                                                                                                                                                                                                                              

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