自殺企図から始まる うつ病 との出会い7

前話: 自殺企図から始まる うつ病 との出会い6

自殺に失敗する以前の症状について


 私が首吊りを失敗し、うつ病になってしまう背景については数点思いあたることがある。



まず、家族のうつ病があった。

 数年前に地方公務員だった父がうつ病になり、仕事を辞めた。

原因は、異動先での仕事が合わず、疲弊してしまったとのこと。




その当時大学生で一人暮らしをしていた私は、そのことをどこか他人行儀に聞いていた。


なぜなら一家の大黒柱が精神的な病を理由に仕事を辞める事が理解できず、

地方の田舎にある実家の世間体としても恥ずかしいと考えていたところがあったからだ。


 また、仕事を休むなどせず、退職という結果に至ったこと自体にも

どこか短絡的ではないかと懐疑的になっていたこともあった。




 もともと父は、人間関係作りが得意ではなく、これといった趣味もなかった。

家族の中でも強く意見を持つ父を見たことはない。 

しかしながら幼いころからとても優しい父だった。



 このころは仕事での疲弊と、家族の中での孤立を深めてしまったのかなと推測するに過ぎなかった。

(私自身も父に倣ったのか、人間関係作りがあまり得意ではないし、強く意見を持つことがない。)



 退職後の父は、月数回の通院と毎日の洗濯などをしながら暮らしており

一見平穏な生活を送っており、日々の暮らしにも慣れてきていたようだった。

どこにでもいそうな定年退職をしたおじさんという感じだった。



私自身も 「そもそもうつ病とはなまけではないのか?うつとは何か。」

という思いを変えるため、うつ病の本をたくさん読み、うつ病を理解し、

うつ病の父と付き合おうとしていた。


父がうつ病と診断がくだったあとすぐに書店に向かい、1冊の本を購入していた。


「うつ病は治る病気です」

「治療には家族の協力が必要です」


沢山のうつ病に関する本がある中、こう書いてあった本にすがった。


最新版 うつ病のすべてがわかる本 (主婦の友新実用BOOKS)



父がそんな平穏な日々を過ごす事3年、ある日私の携帯電話に母から一本の電話が入った。



『父ちゃんが薬を飲んだうえに、酒を飲んで手首を切った。今救急車で病院に向かっている』




 これをきっかけに私自身の うつ病 が始まったのかもしれない。

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