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16/2/20

『ペ●スノート』:Page 9「怒気」

Image by Olia Gozha


とりま、剣(ないと)は食卓へ向かった。アイツら、色々とクレィズィ~な誘い文句してきたケド、結局はお腹が空いたからね。人間、嫌なことがあろうがなかろうが、お腹空いㄘゃあ戦はできね工ってハナシ。You know?






食卓には、なんと豪華な肉料理が置かれていた。虹空(にあ)がつくったらしい。






「落ち●こんでるおまハンのためにちょいと贅沢な料理つくったンゃ。を食べ」






剣は正直、目の前にある大量の肉料理を食べる気にはなれなかった。それもそうだ。何故なら最愛(?)の妹が死んでしまったから。剣は何度も断ったが、虹空が半ば圧力をかけるように”食え食え”コールをする一方なので、剣は渋々、席に着いた。






「せっかく豪華料理つくったンでぃ、お友達呼んだにゃ!」






ホントにさぁ......友達呼ぶんだよ......こちとら家族の一人亡くしたンやぞ......という此方の気持ちなんて、虹空は全く知らないだろうし、恐らく気にもしないだろう。




ひとまず席に居座る連中を眺めた。まずは死神とヌーク。そして三輪(みのわ)に神谷(かみや)先輩に、ミツキーマウス……他にも小学生っぽい男の子と、恐らくその保護者であろう女子高生とオッサンがいた。後から名前を聞いたのだが、小さな小学生は神奈川 素麺(カナガワ ソーメン)という名前なのらしい。……すごい名前だ。他の保護者らしき2名の名前は聞かなかったけど、男の子の名前がああなんだから、きっと保護者の方もすンごい名前……いや、仮に名前は普通だったとしても、頭がアレなのに違いはないだろう。あ、これはあくまでも僕の偏見だからね。だから全国のキ☆ラ☆キ☆ラ☆ネームの皆さんは気にしないでね。










「ぃ~やはや!この度は、"ナイトくん、元気だして!"会にご参加頂きましてまぁコォとゥにありがとぅございます!」






虹空がそう言うと、他の参加者たちは拍手の喝采styleだった。こちとらパーティーなんか参加したくないのに……モヤの中のむねむねがより一層濃くなっていった。








「ナイトくんがね、ちょっと……色々ありましたので、それでナイトくんには、これからも元気出して生活してほしいんですよ。なので、今日はナイトくんの大好きなホットドッグに加えてですね、ステーキやハンバーグといった肉料理を大量につくりました!」








よっ!太っ腹!……と、神谷先輩が合いの手を入れていた。死ねばいいのに。








「それではまずは、乾杯の音頭を……」






虹空が僕に視線を向ける。僕はその視線を、CoolでSadisticCrazyな目つきで送り返す。






「……私がとります!」






本来は乾杯じゃなくて"献杯"だろうとツッコミたかったが、ツッコむ余裕なんてものはなかった。いや、余裕がないというよりか、ツッコみたくないという拒否感情というべきか。








「それではっゕんぱ~~~ぃっ!」






皆が互いにグラスやコップをCrashしてる。僕はただただ眺めていた。基本的に皆ソフトドリンクだけれど、素麺くんの保護者であろうオッサンや虹空だけはビールを入れていた。どこか皆、気持ち良さげだった。僕の気持ちなんか知りもしないだろう。……死神とヌークだけは、僕と同じように、すごく暗い表情だったけどね。








「んでは、皆さん肉料理の方もね、お召し上がれくださいまち~~~~」






死神とヌークを除いた全員は嬉しそうに肉を頬張った。明るげな皆の表情は、皮肉にも僕の心情をかえって負の深淵へと突き落としていくものだった。楽しくない。僕は黙ってその場を離れようとした。






「んェ、ちょっとちょっとナイトくん!せっかくなら食べてきなYO!」






「……食べる気になれないんだ。」






僕のSad Sad Sanctuaryを感じ取ったのか、虹空も少しばかり心が曇ったような表情になった。一瞬だけ申し訳ないなとは思ったものの、もとはといえばコイツが勝手にパーティーなんかを開くからいけないのだ。そのまま部屋に戻ろうとしたものの、虹空は相変わらず僕を説得し続けた。






「まぁ……わかるよ。」








多分わかっていないだろう。






「でもさ、ちょっとは元気にならないと。……きっと娘撫(んこぶ)ちゃんも、暗い顔してるお兄ちゃんを見てたら哀しい気持ちになっちゃうよ?」






そもそも俺がどんな顔してようが、娘撫はお構いNothingなヤツだった。もし仮に俺の今の姿をヤツが見ていたとして、どんな思いを抱えていようが、俺は知らない。興味がない。






そのあと、虹空の説得をしばらく拒み続け、そのあとに神谷先輩がやってきて先輩風を吹かしてきたので、僕はとうとうブチ切れて部屋に籠っていたのだが、死神の説得で僕はしぶしぶ食卓に戻ったのだった。僕が戻ってきてからの食卓はどこか重苦しい雰囲気に包まれていた。








「……とりあえず、ホットドッグ、食べてみてよ。」






虹空が気まずそうに話かけてきた。本当は断りたいところだったが、さすがにヮィもお腹空きスキskickingでねェ。仕方なく、頬張ってみチん。








……何の気もなしに、ホットドッグを頬張ったんだ。








するとどうだ。ソーセージをかみ砕いた瞬間、その溢れ出るジュ~スぃ~な食感、








程良く塩味の効いててエエ味、










ともかく、剣の頭の中ではどう表現したらよいのかわからない、










最高の、至高の、ホットドッグだった。










剣はそれまでの仄暗く湿きった心情を195°ひっくり返し、あまりのホットドッグの美味さに、本当に感動した。








「これ…………ぅまい。これ、ゥまイ。めっちゃウマイ!!!!!!」








剣は思わず、ホットドッグを1つ、2つ、いや3つ……平らげた。……合計すると5つ食べました。はい。


剣は、このホットドッグはいったいどんな肉を使ったのだろうか、気になって仕方なかった。








「ね、ねぇ虹空!このホットドッグの肉……何使ったの!?」






剣はウキウキになって聞いてみた。








「娘撫の肉だよ。」












剣は喉の奥に指を突っ込み、吐き出した。












「……は?………………え。…………は????」












「いやだから、娘撫の肉使ったの」


















剣は気持ちが悪くなり、指を突っ込んでいなかったのにも関わらずまたもや吐いてしまった。








「な、なんで…………え…………なんで……????」








剣は青ざめた表情で虹空に問い質す。だが、肝心の虹空は、極めてNormalJyankenStyleだった。








「そりゃあさ……娘撫ちゃんの死体をあのまま放置する訳にもいかなかったし……てか、放置して警察沙汰になるのも嫌だったし……だから、まぁ…………肉料理になって食べられてもらおう、って…………」








剣には、虹空の言っている意味が解らなかった。理解できなかった。……いや、もしかしたら、理解することを拒んだのだろう。すなわち、剣は、理解という概念そのものを拒絶したのだ。






「これがホントの、"た・んこぶ料理"……なんチテ☆」






虹空のよくわからない発言は無視することにし、剣は辺りを見渡した。死神は、あからさまに泣く寸前の顔だった。……ヌークは、先程の暗い表情に加えて、複雑な心境も交えたような感じだった。……アイツらがパーティー開始から暗い表情してたのは、きっとそのことを知っていたからなンだろう。








「へえ、妹さんの死体でつくったのか。……でもコレ、うまかったから別にヨクね?☆」






死神とヌークを除いたヤツらは、皆笑っていた。楽しげに。嬉しそうに。






僕は彼らを許すことができなくなってしまった。










いや、"許すことができない"のではない。"許したくない"のだ。






喩え、彼らが死んだとしても……












剣はすぐさま部屋に戻り、ペ●スノートを手にした。






電源を入れて、録音ボタンを押す。そして残すコトはあと1つ、








「三輪 信祐(みのわ のぶひろ)!神谷 千沛(かみや せんぱい)!ミツキーマウス!神奈川 素麺(かながわ そうめん)!オーモリ・ネイチャン・ラーメン!ジロー・マシマシ・ラーメン!!!!!!」












そう、ペ●スノートに名前を吹き込むだけ。これで決まり。










この時もまたシャウト気味に言ったので、剣の様子が気になって仕方なかった野次馬ドモぉンたちが、揃いに揃って剣の部屋に入ってきた。








「ど、どうしたんだよナイト。な、何か気に障ることでもしちゃったか????」






気に障るようなことだらけだったから今こうなっているんだ。だがもう、そンなことはもうどうでもいいんだ。














「おめェらにも、娘撫の感じた恐怖を味わせてやるよ……」












ペ●スノートに名前を吹き込んで、35秒が経過した。














「な、何だ…………!?」














「ぅ、ぅわッ!!!!ペ、、、、、、ペ●スが!!!!!!」










「僕のペ●スが、どんどん大きくなっていくよッ!」






三輪、神谷、神奈川、オーモリ、ジロー、ミツキーマウスのペ●スが、どんどん大きくなってゆく。












「な、何だこれは……!!!!!!」












「どぉ~~~~なってんだ!?!?!?何でッペ●スがァ!?!?!?」












「わ、私に、ペ……ペ●スが……ッ!!!!ぃゃぁ゛ぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」














皆、タイ☆パニックになった。パニック状態になった皆さんはさぁ大変。急いで剣の部屋から出るハイ。そして多田家からも急いで出ますハイ。




そしてアルファベットの道を疾走中、ハイ。








「……アルファベットじゃねェよ!!!!アスファルトだよ!!!!」








三輪が、私が渾身を込めたおもしろ誤字ギャグに並々ならぬツッコミを入れたその時である。










「もヮッ……!」








三輪が地面を頭に打つようにズッコけましてねェ。ええ。で、皆さん6人一斉に走ってましたからねェ。








「ヌヮッ……!!!!」






「ンぎゅヮ!!!!」






「ペぃナ!!!!」






「もンすァ!!!!」








「ハハッ!!!!」








皆さん一斉に、ずっこけて頭打ち。エエ、その光景はなかなかシュールで、若干面白かったですよ。






で、それがいけなかった。








そう、打ちどころが悪かったンだ。頭の。打ってはいけない、打ったら一撃必殺な部位を、彼らはモロに打っちまったンだ。












虹空は、アスファルトに横たわる、ペ●スの大きい、6つの遺体をKillingに眺めていた。








「……こりゃまた、肉料理の材料が増えますねェ。」









虹空の微笑みは、まさにMysterious Sadistic Crazy Momentだった。



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