なんちゃって外資系 その7 色々残念編
ここらでテーマに沿った色々残念な外資系でのお話。
本社や地域統括会社が外国にあるので割と海外出張の機会はある。そこで航空券を取ろうとしてビックリ。日本企業にいた時は課長になった後はフライト時間にはよるが原則ビジネスクラス。
ところが外資のトラベルポリシーはまさにポリシーで様々。会社によっては、原則、エコノミー。長距離フライトは年間数回目からビジネス。かつ金額制限が有り、差額は個人負担。規定の金額では中国系航空会社位しか取れない。日本人は未だ痩せているから良いが、あの大きな外国人がエコノミー席にはまっている様は絵的には面白いが厳しい。
勤めていた米国系通信会社では香港に地域統括会社があり上司である地域統括CFOもそちらにいた。
日本の売り上げは他のアジアパシフィックの国を全部足したものの2倍もあり、重要な国。
しかしその会社を辞めるまでの最後の3年間、彼は一度も日本に来なかった。本社の彼の上司曰く、「通信会社なのだから電話やテレビ会議システムを使え。」と。旅費をセーブするためだ。
外資系で10年以上暮らしていても未だに慣れないこと。それはニックネームで呼び合うこと。
外人に呼ばれるならまだよいが日本人同志で「エディ!」と呼ばれたり(英二という本名です)、イニシャルで「A1(エイ・ワン。英一から付けている)」などと呼び合うのはゾクゾクしてくる。
私は名前から「トシ」だが、もう一人「タカ」と呼ばれているメンバーがいて、電話会議の際に「タカ・アンド・トシ」と言われる度に、(俺たちちゃコメディアンか!)と内心穏やかでない。今度、本社に行ったらエグゼクティブの連中にタカアンドトシのYou Tubenoの画像を見せてやろうと思っている。
本社から与えられた数字、ターゲットをやり遂げるのが出先たる現地法人にとって絶対。
よって年度が変わった頃、前年の功労者、ハイパーフォーマー、の表彰と、当年度のキックオフを兼ねたイベントを開く。現地法人が出来て間も無い頃は人数も少なく、また本社も寛容なので、何故か海外で開かれることも。
ある会社では私の入社前は全員でハワイ、オーストラリア。入社後の一度連れて行って貰ったのは韓国。段々と本国からの予算の縛りがきつくなり、出席者も営業は全員だがサポート部門は選抜制。
その内、国内のホテルやイベント会場に。最初からいるメンバーは格落ちした様な佗しい気持ちに。
ターゲット目標である売り上げを達成する為に皆んな色々と考える。というのも、ターゲットであるから普通の事をやっていてできる様な数が降りてくることはほとんど無いからだ。例えばマーケット会社から購入したデータが市場成長率が1%と言っているとしよう。予算を作るファイナンスの立場からするとこの1%がベースとなり、本社にも報告。無論、市場全体の成長率と個別企業の成長率は違う。
よってパイプラインという潜在的な案件、新規、解約、更新、乗換えの情報を精査して行くのだが、最後はトップダウンで「これ位やって貰わないとグローバル全社での数字が行かない。」と、本社のレベルでの未達部分が降りてくる。市場は成熟、既存大口客からの値引要請も大きい。一方で日本市場で売れる様な製品は出てこない。と、日本のマネージメントは首の背ろに冷たい物を感じる。
ここでたじろいている様だと来年の席は無い。ありとあらゆる知恵、伝手を使って売り上げを立てようとするのも当然だ。その中にはどうしてそんなことをする必要があるのか分からない物もあり、尋ねると大抵「お客様の要望。」とか、「業界の慣習。」「日本にユニークな事情。」との答えが返ってくる。良く聞くと納得の行くものもあるが、最後まで分からない物もある。
かつて身を置いたIT業界では2000年前後に相継いでチェーン取引と言うものが発覚。本当のお客様がいるのかどうかも今となっては分からないが、発覚した企業の報告書を読むと恰もババ抜きの様に数十億円の機器が会社から会社へ次々と転売。日本IBMの不正取引で親会社の決算もやり直しになった際には、経営陣も本社から送り込まれることとなった。
あまり日本の経営陣が日本はユニークと言い続けた為に、「そんな訳の分からないものはリスク。売ろう。」となった例も。
グローバルな基準で取引を行い説明を含むコミュニケーションが行われることが肝要だ。
最後に日本企業では未だ残っていると言う交際費。お客様を会社のお金で接待する事は極めて制限されている。腐敗に繋がる行動に対する世間、当局の目は海外の方が厳しいからだ。
そこで担当営業は自分の時間とお金で、懇親会と称する会合や、相手企業のイベントに参加させて貰っていた様だ。
社内接待も同じ。定期的な部門のイベントや、本社や他の国から来たゲストとの飲食は経費で落とすが、それ以外は上司のポケットマネー。忘年会をしたところ、後でお金が足りないと幹事から要求されたのには最初は驚かされた。給料の内、ということであろう。
色々と日本企業にいた時は経験出来なかったことに出会うことは、新しい世界に足を踏み入れたかの様で新鮮である。時にはアゴが外れそうになることもあるが。
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