なんちゃって外資系 その6 ヘッドハンターとは

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外資系企業でそれらりの地位にいると「ヘッドハンターだが貴方をヘッドハントしたい。」という電話がしょっちゅう掛かってくる。今回は、ヘッドハンター編。

「ハロー。XXXさんは居ますか?」、名前を名乗らんかい!と、心の中で思いながら、「私です。」と答える。多くの場合、相手は外人で英語で「貴方に紹介したい案件があるのだが会えないか?」というものだが、中には日本人が「私はヘッドハンターです。企業からの依頼で貴方をヘッドハントしたいのですが。」と言ってくる事がある。そんなはず無いだろう!と再び心の中で思う。

ヘッドハンターというのは自由だが実態はリクルーティング会社とか転職エージェントという方があっている。映画やドラマの様に企業から直々にエグゼクティブの候補者のサーチを専属で任されると言うのは例外的だから。


採用でリクルーティング会社を幾つも使っている。また自身、過去に転職した際もリクルーティング会社にお世話になった。一言でリクルーティング会社と言っても幾つかの類型に分類できる。

一番上位に位置するのが、所謂リテンション・フィーと言って先払いで手数料を支払って候補者をサーチして貰う会社。コーンフェリー、エゴン、ハイドリックと言った所が大所だが、社長クラスのサーチが主で一般の方にはほとんど関係が無いと言って良い。採用を依頼する企業の方で、これはという候補者を持って居て先方に打診する場合と、リクルーティング会社の方で候補者を集めてリストと経歴書を提示してくる場合がある。これらこそ映画やドラマで出てくるヘッドハンター。

つい最近、この中の一社のヘッドハンターに会ったが、一つのポジションの為に40ー50人をリストアップして、その内半分程度と会い、最終的に5人程度のショートリストを企業に提出するとのこと。

その為に常にサーチを掛けていて企業に売り込むに値する人材との関係を築く。


次いで企業と深いパイプを持っていて相手の経営層に直結しておりヘッドハンターとの面談でOKとなれば、まず先方との面談となる所。老舗の東京エグゼクティブサーチ、サーチファームジャパン、ヒュマンアソシエイツなど。その他、中小でも独自のパイプを持つ所もある。

実際、某医療関連企業の社長の右腕が欲しいという案件でヘッドハンターとの面談後、その社長と銀座で夕食を食べながらの面談。帰る方向が一緒だった為、帰りのハイヤーもご一緒させて頂く事ができた。業界が若干特殊だったのでお断り申し上げたがヘッドハンターの力のある所がわかる案件であった。


その他の大部分は企業から求人の声を掛けて貰うか、企業の求人ウェブを見て候補者をサーチ。経歴書を企業に送り、企業が会いたいという事になれば面談になる。よって応募したものの面談に進まないという事も多々ある。


経歴書を多く集める事が成功率を高め企業、クライアントと呼ぶ、の信頼を高めてまた採用率が高めて行く。それ故、「電話では詳細を話せないから、朝でもランチでも食べながらでも話せないか。」と、言ってくる。ここで「はい。」と言ってしまうと相手のペース。

案件も分からないのに時間を割くのは無駄。例えば、過去1年間に応募した会社への再応募は原則禁止。

ポジションや年収が下がるのもNo good。そこで私の場合、企業側の提供しているJob description、採用条件をメールでもらい、興味があれば連絡すると言うことにしている。


電話して来る外人。しっかりとした所は、電話を掛けて来て面談の算段をする係と面談をする係は別。

いずれにしても過去の職歴を聞くと一番多いのは英語教師。世界中を旅していた宣教師なんて変わりダネも。よってクライアントの企業情報等に期待しても無理。言葉巧みに企業に売り込んでくれるのが期待。英語が分かる、もっというと外人と言うのが彼らのバリューだ。


求職者側でできることは、しっかりとした経歴書を作成すること。採る方の立場からすると、よく長すぎる経歴書はダメと言われるが、会社名とポジション、職務内容だけ書かれても不十分。簡潔な文章で何を考えて、どう職歴を積んできたかが書かれていると会ってみようかという気持ちになる。また応募は早い方が有利。後の段階になると経歴書が山の様に来て見るだけでも大変。それに比べて早い時期では未だ数が少なく比較も出来ないので一箇所でも光る所があれば会ってみようかとなる。

実際、これは採用したサイドとしての話であるが、ITマネジャーや法務関係のマネジャーの場合、厳選したものだけを送る様にリクルーティング会社に指示しても経歴書が50以上届いた。内、10名前後と会うが複数のポジションの採用をしていると誰が誰だか分からなくなってくる。深く印象に残ると言うのは重要な強みだ。


最近はエンジャパンや日経キャリアNETの様にウェブに登録をして置くと複数のエージェントから「スカウト」のメールが来るという便利なものもあるので、まずは少し時間を掛けて魅力的な経歴書を作成して登録する事がヘッドハンターとのお付き合いとの入り口になる。

私自身こうして知り合ったたヘッドハンターとの付き合いを通じて2回の転職を実現している。


このヘッドハンターという仕事、電話と郵便物を受け取れる住所が有れば開業できる。なんせ転職を一件成功させれば転職者の年収の30〜40%を手にする事が出来る。雨の後の筍の様にヘッドハンターが乱立する訳だ。決める事が重要だから完全に企業寄り。注意する必要がある。

オファーシートと呼ばれる雇用契約書にサインする前、疑問点はクリアにして会社との文書に残して置くことが入社後のトラブルを防ぐことになる。この点でヘッドハンターを上手く利用する事が大事だ。


P.S. シリコンバレーでは新興企業が人の取り合い。

ヘッドハンターによる襲撃を避ける為? AmazonやGoogleでは会社から自宅までのバスの配車までしている。

ところがこのバスストップがヘッドハンター達の絶好の狩場に。

何も怖く無い、報酬に目の眩んだヘッドハンター達が下車して来る社員に群がる事態が起こっているとか。

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なんちゃって外資系 その7 色々残念編

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