とある教室の片隅で 〜Misuzu's Lesson〜

次話: とある教室の片隅で 〜Misuzu's Lesson2〜



『美鈴先生ー!いるーー?』


今日もまた廊下から元気な声が聞こえてきた。

あおいちゃんは彼女が高校1年生の時に受け持った生徒だ。


もう3年生にもなるのに

自分の将来のことや夢ややりたいこと、叶えたいことが

わからなくて悩んでる。


何か疑問がわきあがった時や

何か気づいたことがあった時には

私の部屋に話しに来るのだった。



この場所は校舎の4階の東の角部屋。

資料室の管理者として任命されたのをいいことに

普段、授業としては使っていない資料室を整理して

私の居場所をつくった。


日当たりもよく

教室棟とはちがって

生徒達の賑やかな声も遠くに聞こえる程度で実に落ち着く。


だから

生徒との個人面談や相談ごとをうけるにはうってつけの場所でもあり

普段は自分がホッと一息つきながら

教材研究や授業の準備をする場所として気に入っている。


今は放課後。

授業を終えて、ホッと一息

珈琲でも淹れてゆっくりしようか・・・と思っていた矢先に

聞こえてきたあの声。


『美鈴先生ー!いるーー?』


ガラッと扉が開く。

資料がびっしりつまった本棚で

入り口から私のいる場所は見えないのだが

勝手知ったる彼女は

ずんずんと中に入ってくる。


『あ、やっぱりいた!

職員室に探しにいったのだけれどいないから

きっとここだと思ってたー。』


やれやれ。

ゆっくり珈琲でも飲みながら休憩しようと思っていたのに。


『どうしたの?』


『ん〜今日ね、進路の授業で質問が出たの。

自分が将来、何になりたいのかって。

でも答えられなかったの。


何になりたいか、なんてまだわかんないしー。

美鈴先生、どうやったらそれがわかるの?

先生は私くらいの年齢の時、何になりたいって決まってた?』



『そうね〜。

私があおいちゃんの年齢の時は、スチュワーデスになりたかったな。

テレビドラマも大人気だったこともあって、あの頃は花形の職業だったのよ。』


『へーそうなんだ。

でも、なんでスチュワーデスになりたかったの?』


『世界中を旅したい、っていう夢があったのよ。

スチュワーデスならば、世界各国に行けるって思ってたし

英語を使って色々な国の人とお話できるなんて、楽しそうじゃない?

私、食いしん坊だから各国の名物料理も食べたかったし

何より、飛行機に乗ったことがないから乗ってみたかったのよね。』


『へー。でも今は教師をやってる。

なんで?』


『今の職業についたのも、本当に偶然という名の必然だったのよ。

この話はまたゆっくりするとして。

あおいちゃんはどんなことが聞きたいの?』


『ん〜私はまだ何になりたいっていうのがないの。

それだけは自信を持って言えるのだけれど笑

でも、どうやって探したらいいのかわからないの。

だから、先生に聞きにきたってわけ。』


『そっかー。

何になりたい、ということも大事なのだけれど、

自分のことを知る、が最初に必要なことかもしれないわね。』


『自分自身を知る?

私のことは一番、私が知ってるよ!』


『みんなそう思うわよね。

じゃ、質問するけど

自分の一番好きなところはどこ?

それから、その理由は何かしら?』


『・・・ん〜そう言われると

なかなか出てこないなぁ。

自分のことってあまりよくわからないもの?』


『そうね。自分について

あまり考えたことがない人にとっては即答は難しいかもしれないわ。』


『なるほどー。

でもなんで自分自身を知ることが必要なの?』


『一生付き合っていくのって誰だと思う?

そう、自分なの。

自分が自分に一生付き合う仲間であり、親友であり、戦友であり

ライバルであり、心を赦す絶対的な応援者でもあるのよ。


だからその自分自身というものをよく知ることは

自分の人生をよりよく生きる、に繋がっているのよ。』


『そっかー。でも、どうやって?』


『そうね。自分に問いかけるのが一番ね。

答えは自分の中にあるから。

じゃ、さっきの質問にこたえてみて。

これ宿題にしましょ。』




*****

こんなやりとりがきっかけで

あおいちゃんはどんどん自分に目覚めていくのですが

これを読んでいるあなたはどうですか?


ご自身のこと、しっかりわかってますか?


もし、わかっていなかったら

あおいちゃんと一緒に課題をやってみましょう。


なぜならば

あなたの一生の相棒だからです。

自分を知らずして

幸せな人生を歩めない。


逆に言うと

自分を知ることは自分を大切にすること。


誰かのための人生を歩むんじゃなくって

自分のための人生を

自分で選択し、自分の足で歩いていく。


これが自分を自分で幸せにする第一歩じゃないかな。


さぁ、いよいよ

自分発見の旅の始まりです。


準備はいいですか?


それでは最初は肩慣らしでこのしつもんに答えてみてください。



Q1 自分の好きなところを3つ以上、挙げてください。

また、その理由は?


Q2 自分のキライなところを3つ以上、挙げてください。

また、その理由は?




ぜひ、書き出してみてくださいね。

やってみると案外、面白いことがわかるかもしれませんよ^^







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