元心臓病のホームレス少年が カリブ海に住むようになった3つの理由

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人生で味わった本当の意味での 最初の挫折だった





自分には 文章を書く才能が無いばかりか


英語さえも真面に書くスキルが無い



どれだけ必死に頑張ったところで
今からそのスキルを職業レベルにまで持っていくのは 至難の業どころか不可能に近いだろう



夢と現実の狭間で待ち構えていた谷の溝は 少年の想像を遥かに超えて深いものだった




そして少年は夢を失いかけ


自暴自棄な生活に陥った




学校でのモチベーションは下がり
私生活は乱れる一方だった



しかし そんな生活の中で出会った人達の中に
輝いている人たちが居た



彼らは文章こそ駆使するタイプの人種ではなかったが


DJとして音楽を操り フロアにいる人間のテンションを最高潮に高めたり
芸術家として絵を描き 一目見た人を感嘆させるような表現をしたり
アスリートとして 観客を興奮の渦に巻き込んだりして


感動というメッセージを多くの人に伝える事に成功していた



次第にそんな人達を傍目に見る事で


もしかしたら文章以外にも表現の方法があるのかもしれないと


少年は思い始めた



そして探したら自分の中にも何かしらの表現をする為の才能が モノを書くという作業以外に 埋もれているのかもしれない


もしあるのであればそれを見つけたい そう思うようになっていった



幼少の頃から一貫して 誰かの代弁者になりたいとか メッセージを伝えたいとか 何かを表現したい


そう思う気持ちには陰りが無かったが


ジャーナリストになるという選択のみが 自分の使命だと思い込み


それに伴うスキルはなぜか自分に備わっているのだとも 思い込んでいた事で


現実を目の当たりにしたときに 


もう未来が無いかのような錯覚を覚えていたのだった



大学ではある程度頑張り 高校卒業の単位を取得するよりも先に


大学卒業に必要な単位が全て取得出来てしまった



そのまま卒業することにし


結局少年の学歴は 小 中 高を飛ばして 大 


というマックのコーラのサイズのようになってしまった



さてこれからどうするか


少年が目指した先は アメリカに残って自分の表現出来るスキルを見つけるというものだった



当時通っていた大学のある町には 日本で初めて回転ずしを作った会社のチェーンがあった



その会社の社長に挨拶をした


自分は料理人に成りたくて渡米したわけではありません
ジャーナリストになる為にこの地を踏みました
しかしジャーナリストになる為の肝心な素養が無いという現実を目の当たりにして 挫折を経験しました
しかし 何かを表現したいという気持ちにずっと変わりはありません
料理は料理人のメッセージが詰まったレポートのようなものだと思っています


実際に自分も御社の寿司を口に運んだ瞬間に 懐かしい日本への思いや
口に広がる絶妙なハーモニーによって 涙が堪えられなくなった事があります


この会社で料理という手法を使い メッセージを伝える人と共に働く事で
表現を学べると思うので 
現地の人よりもお金が掛かるのは承知していますが 自分を取ってくれませんでしょうか


そこまで話した時に社長に遮られた



俺の会社を踏み台にしようとしているのか



少年は返す言葉が無かったが


社長はそのまま続けた



俺はそれでも構わない


ウチでとってもいい 

    

アメリカでの就職が見えてきた












しかしそんな矢先に 911が起こった



その日からアメリカは変わった


卒業をしてしまった少年にはもう学生ビザはなく
就職も正式に果たしたわけではない状態では


外国人に対してアメリカが滞在を許せるような社会ではなくなってしまったのだ


少年は 再び日本に帰る事になった









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