〜性暴力被害者からの卒業①〜 それでも幸せに生きること。 あの日私は、確実に生きるための選択をした

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私は性暴力サバイバーです。サバイバーとは被害から生き抜いた人という意味。つまり、今生きている、性暴力被害の経験者。


講演会を終えたあとに飲む一杯目のビールが至福のとき。

その度に思うのは、17年前にはこんな『生きてて良かった』の瞬間を感じることなんて想像もしていなかった。

今でも、何でわたしが、ここで、話をしているのか?ってすごく不思議に感じることがあるくらいだ。


17年前、私は性暴力の被害にあった。

学生時代の友人とボウリングをしていたところに、友人の友人が合流してきた。

その後みんなで肝試しにいかないかという話になり、元々そういう類は好きではない私は乗り気ではなかったけれど、他の人たちがみんな行くというから断れなかった。


まあ、そこで断っておけば良かったのだけど、ひとりだけノリが悪いと責められることの方がその場では怖かった。


それでそのまま肝試しに行ったけど、思っていたより真っ暗で足元は見えなくて動けないし、足取りも重くて仲の良い友人とはすぐに逸れてしまった。

困っている私に「〇〇ちゃん(仲の良い友人)がいるとこに連れてってあげるから」と男性から声がかかった。


その人たちは直接的には初対面だけど、友人の友人だからと安心していたのと、こんなつまらない場所からさっさと立ち去りたいのもあり、すぐに連れていってもらうようにお願いした。


肝試しには2台の車に分かれてきていて、友人は先にもう1台の車で出発したという。

当然、同じ場所に向かうだろうと思い、促されるままその人の車に乗ったら他にも2名の男性が居た。


友人の他にも女性が何人かいたはずだけど、先に放っていくなんてひどいよなーと思いながら、後で合流したら文句でも言ってやろう。

不機嫌なまんま、後部座席に座っていた。


車に乗って数分後、車の行き先が変な気がした。

普段遊んでいるエリアではない方向に向かおうとしていたから。


なんか変だ…


あのさ、みんなどこ行ったん?


ってか、どこ行くん?


男たちは「他のやつがどこ行ったかなんて知らない」と言い出した。

どういうつもり?と私は不機嫌なまんまで怒った


「生意気なこと言うと殺すぞ」

後部座席の隣に座っていた男がそう言って私の首元を掴んだ。


情けないと思いながらも、殺されるかも?という恐怖でいっぱいの私は黙った。

とにかく確実に助かる方法を必死で考えた。


車から飛び降りようとしたけど、後部座席の私の側にはドアがなかった。


そして、あるところに到着したらそこは普通のよくある一戸建ての家。

後部座席の隣に座っていた男の家だと言う。

閑静な住宅街で、その時間は見える範囲で明かりのある家もなかった。

隠れられそうな店舗もなかった。


恐らく家には他の家族がいるだろうと思い、助けを求めようと思ったけど、寝ているようだし、どの部屋の中にいるのかもわからないし、ましてやその男の身内であると思うと、助けを求めたところで確実に助かるとは確信できなかった。


今だから言えるけど、こういう時の逃げるとか逃げないは性格が影響すると思う。

正しいとか正しくないとかいうことでなく、例えば、慎重であるか、慎重でないかとかそういうことになるんだと。


逃げて助かる人

逃げて助からない人

逃げなくて助かる人

逃げなくて助からない人


あの時逃げてればとか、逃げなければなんていうのは、終わった後からでしかわからない。

今でも私は、いろんな事件のニュースを見るたびに

逃げてれば助かってたのに逃げなくて助からなかった人に、逃げれば良かったのにっていう人には、きっと、逃げなければ助かったのに逃げて助からなかった人には、逃げなければ良かったのにっていうんだろうなって思わずつっこんでしまう。


ただ、後々私の中で


逃げて助かる人

逃げて助からない人

逃げなくて助かる人

逃げなくて助からない人


ということについて、長く考えてしまうことにはなるんだけど、それはまた事件後の葛藤を書こうかと思う。


とにかく、私は被害を受け入れるということが無事に命を守るための最善策だと、その時はそうとしか選択出来なかった。


私の予想通り、大人しく受け入れたら無事に家に帰された。


少しずつマイペースに書き進めたいので、次回に続きます。




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