〜性暴力被害者からの卒業②〜 それでも幸せに生きること。あの日私は、確実に生きるための選択をした
最初から警察に被害を届け出てやる!と決めたものの、届け出に行くまで数日あった。
その数日間の間に、いらない情報も入ってきてしまう。
当時、すでに私はインターネット環境下にあったので
レイプ
と検索をかければ、大半がエロサイト。
被害の体験談などもまともには見つけるのは難しかったし、届け出ても不起訴になるものや立件の難しさなどを書いているページしか見つからない。
そのきっかけを作った友人も自分なりに調べていたのだろう。
私が被害届を出すことで、更に傷つかないかととても不安になっていた。
当時は、レイプされても、ハンカチ1枚を敷いていたら罪にはならないとかいう未だによくわからない噂もあったそうだから。
友人の、とにかく、これ以上私を傷つけたくないという気持ちには理解を示しつつ
放っておいて!
もう、どうせ傷だらけやん…
私には今、出来る限りの可能性のある復讐しかできないと伝えた。
友人は、私にその覚悟があるのならば、裏から手を回して加害者を痛めつけるというプランも提示されたけど、それにはNOと言った。
だって。
なんで。
なんで、こっちがヤバイ状況になることをわざわざ上塗りしなきゃならないわけ?
確かに私はムカついている、相当恨んでいる。
もしかしたら、友人のことも…
だからと言って、何でも私たちの手を汚さなきゃなんない?
それに、あんたが自力で相手を痛めつけたところでね。
私がされた事実は変わんないの!
だから、傷つけたくないって気持ちはわかるけど私のやりたいようにさせてもらうから、手を出してくるな。
…というようなことを言ったと思う。
(最悪、やるなら、私の手でやる!)
実はそれが本音だったけれど。
とは言え、強気にそう言ってたものの、本当に警察が取り合ってくれるのか?
嫌な思いだけして帰されやしないのか?
不安だった。
(最悪、やるなら、私の手でやる!)
を決めながら、警察署に行った。
ちょっとびっくりしたのが、目の前にいるのがマジで刑事ドラマに出てきそうな女性刑事さんだったこと。
そして、目力はすごかったし、ちょっと怖かった。
取調室は狭くて殺風景。
こんなところでごめんねって刑事さんは言ってくれた。
お菓子を出してくれた。
食べながら話してねって。
確かに暗くて、狭くて、殺風景だったけども、あの甘いチョコレートの味は忘れない。
レイプされてた広い一軒家の1室は動けるけどずっと怖かった。
ここには、私以外誰もこないからねって、刑事さん。
狭くて殺風景でも、甘いチョコレートのある部屋は安心で、涙が溢れた。
何度も話してもらわなくていいように、今日一日て終わるように、頑張るからあなたも頑張ってね。
私は警察署ってすごく怖いところだと思ってた。
だって今まで縁は無いし、どちらかといえば怖い話しか聞かなかったから。
全然怖くなくなったか?と言えばそうでもないし、性質上全てをオープンにする程の根性はないけれど、よく覚えている。
(逃げられるチャンスもあったと思うねんけど、何で逃げられへんかったん?)
こう聞かれた時、きっともうだめなんだと思った。
逃げるチャンスもあったのに、逃げなかったのならそれでもよかったのでしょう?って言われると思っていたし、事前に調べた情報だと、そこが納得されるものでないといけないと書いてあったから。
怖かったんです。
失敗したら。
もし、失敗したら、どうなってしまうのか?
それが怖かったんです。
すると、刑事さんからは予想外の言葉が出た。
そりゃ、怖いよな。
私だって、同じ状況なら、怖いよ。
え?
それは私の先入観だと今は言えるけど、刑事さんなんて、相手が男でもさっさとなぎ倒してしまうくらいなんだろうと思っていたから。
え?刑事さんでもですか??
だって、相手は複数だし、それに、例えひとりだったもしても、相手がどんなことするかわからない。
ナイフとか持ってるかもしれないと思ったら、怖いし、勝てる自信なんてないよ。
こんなことを公表したらヤバイかなって思うけど、確かにそうで。
プライベートまで常に防具なんて持ってないだろうし…
よく、性暴力被害にあったひとに、あなたは悪くないって言ってあげるとかあるんだけど、刑事さんの
私も怖いよ。
は、ただの言葉以上のパワーがあった。
そして、その後に
色んな事件を知っているよ。
だからこそ…
助かってよかったよ。
本当に、よかったよ。
著者のヤマト ミライさんに人生相談を申込む
- 1
- 2
著者のヤマト ミライさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます