砂の城 -わたしが経験した三菱自動車工業の内部-

著者: Fujii Momoko

三菱自動車工業が燃費偽装問題の件で世間を騒がせています。





わたしは三菱自動車工業に90年代に10年間働いていたけど、リコール隠し以外にも社内用の書類や会議体でも細かい不正が横行してました。例えば新車企画のための会議(当時は原価企画会議と呼んでた)の数字もデタラメで、いざ生産販売を始めたら計画とかけ離れた数字が出てくるのです。会議を通すために数字を加工するということが「あたりまえ」のように行われていたのです。


社内では「エイ、ヤー」ということばが日常化していました。数字は積み上げるものではなく、でっちあげるものでした。わたしが知るかぎりにおいては。




また、利益計画を達成させるための粉飾決算も横行していました。「出荷促進」「採算改善」という言葉で呼ばれていました。例えば会期末の3月に、本来4月出荷だったものを無理やり船に積んで3月出荷にして売上を計上することが、数十億円単位で行って常態化していました。




工場でも不良部品が出たので出荷を止めようとしたら「それを判断するのはうちの部署ではないから出荷を止めるな」と言われたことがありました。明らかな欠陥品であるのにもかかわらず。セクショナリズムの極みでした。


パワハラも受けたし、妊娠出産をする女子社員に対するマタハラもありました。2000年当時はそんなもんかなって思ってたけど、今振り返るととんでもないことをやってたなって思います。




問題が起きた時、真っ先に問題となるのは「どこの部署が会議の主催をするか」でした。会議を主催するのは責任部門でなければならず、逆説的に言えば会議を主催する部門が責任部門とみなされることになり、だれも火中の栗を拾いたくないから、どの部門も会議を主催したがらないのです。そうやって問題の先送りが行われていたのだと思います。




あくまでもわたしが書いたのは2000年ころのお話。今の会社の事情はわからないですが、今回の事件で「体質は変わってなかったんだなー」って思いました。



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