ファイナンス入門 (4)為替と株価
アベノミックスが始まってなぜ株価が上がり円安になったのだろう? そして最近の株価の下落と円高はなぜ?
アベノミックスの3本の矢の内、第一の矢は「金融緩和」。
要するに日銀がお札をどんどん刷って市場に出すこと。そうなると当然、需要より供給が多くなるので価値が下がる。円高になることになる。
円高になると輸出企業の輸入代金を円に換えた時の実入りが増えるので増収増益になることが期待される。よって株価が上がったということだ。
同様に金利を下げると、その通貨を持っていて運用に回したとしても収益は少なくなる。
じゃあ金利が高い通貨に乗り換えようということで売られる通貨は益々安くなる。
円高に対して日銀の黒田総裁が更なる金融緩和の用意があると言っているのは、
「円を持っていてもマイナス金利だからコストが掛かるだけ。早く円を売りなさい。」
と恫喝しているに等しい。
それでは何故最近急速に円高が進んで株価が下がっているのか?
株価の下落は簡単だ。アベノミックスの第一の矢のお陰で円安になり企業収益も向上しそうとの思惑が広がって株価は上昇した。しかしこの調整は通貨安によるもので企業の体力や稼ぐ力が大きくなった訳ではない。
その為に第二の矢である「財政支出」と第三の矢である「成長戦略」が急がれたのであるが、震災対策費を見れば分かるように財政資金もだぶついていて、成長戦略に至って未だに総論・概論のレベルで、外国人労働者の解禁、女性の社会的参加の増大についての実効性のある施策がなされていないという「失望」売りを誘っている。
要は稼ぐ力が育ってはいないと。
円高については少し仕組みが難しい。
何故なら株が売られるという事は日本の先行きに不安を持っているということであり、日本の通貨も売られるのではないかと。
色々言われている中で尤もらしい説は以下の通り。
株価が下落すると株の売却が進み投資家は円を手にする。
海外投資家はこの円を外貨に替える為売却するので円が安くなる、と思われるが、そもそも海外投資家は円を買う時に同時に円売りの予約をしており、その予約を行使するので市場にはノーインパクト。
一方で今日、海外投資家を始めとする機関投資家は証拠金を使用した「レバレッジ(テコ)」取引を行っている。故に、株価の下落の際にはポジションを失わない為に、証拠金に必要な円を購入。円高になるというものだ。
もっと分かり易く言うと、日本市場では「株価と為替が同一方向に動く」という事が市場での理解になってきている。それ故、その方向を想定した取引が利益に繋がり易く。
最近、増大しているプログラム売買やIA売買のプログラムもこの動きをサポートする形で売買を行うようにセットされており、一気に大きなどう方向への動きとなっている。
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