弁護士を雇って その3

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資格は無くとも法律に関わる仕事はできる。仕事の中から学ぶ法務。

入射後配属されたのは管理部、今で言うところの経営企画部。

そこで関係会社の管理をすることとなった。

会社の管理となると株主総会だとか取締役会といった商法、今の会社法の知識が必要になった。

また関係会社の多くは船舶を保有していて船員を配乗させて修繕などのメンテナンスを行った上で、その船舶を親会社に貸し出す。

海運は世界を跨いでの取引を行うので、直接顔を見知らぬ相手との取引になるので、「契約書」が非常に重要になる。

よって入社直後から各種の契約書の作成が仕事の一つになった。


営業にも在籍していたことがあるが、こちらはもっとシビア。

荷主との輸送契約も幾つかの定型フォームがあるのだが航海毎にこれを熟読して船の船長や代理店宛てに指示を出す必要がある。

事故やダメージがあった場合にも国際法に沿った対応が求められる。

保険が関係すれば保険の約款の理解も必要。

船の価値は20-30億円。場合によっては100億円を超える。

お客様から預かっている貨物にも貨物保険が掛かっている。


その後、財務に移った後は借入契約や担保契約等を山の様に処理する毎日。

相手は金融機関であるから非常に厳格な文言が並ぶ。

ちょうどその頃、デリバティブと言われる複雑な取引や資金運用の方法も増えてきた。

またバブルの崩壊による運用を巡っての「事故」に関する訴訟もあった。

必然的に法律の知識が蓄積されていった。


豪州の資源コングマリットと合同で船舶の保有・運航会社を作るプロジェクトに参画した際には、国際渉外弁護士と仕事を一緒にした。豪州、韓国、日本と場所を変えて交渉を行った。

自分では結構「いけているな」と自画自賛していたが、一方で「弁護士」資格がないと最終的な決定をできず、弁護士の「オピニオン」を取得しなければならないことに苛立ちも感じていた。



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