ファイナンス入門(10)βからαへ

前編: ファイナンス入門 (9) 統計

会社の退職年金が確定拠出型になって自分で投資先を選択しなければならなくなった方も多いのでは。

そもそも、かつての退職年金は「確定給付型」と言って運用の結果にかかわらず決まった金額の一時金又は年金を受け取ることができた。

ところが運用実績の低迷、場合によってはマイナス運用になっても企業がそのマイナスを埋める必要があり、その費用が企業業績に大きな影響を与える様になった。

そこでアメリカで先行していた「確定拠出型」の退職年金が日本でも導入された。

簡単に言うと掛金は企業が持つけど運用の結果は従業員の責任。

つまりリスクが会社から従業員に移されただけ。

これを個人の好みに応じた運用が出来るという美辞麗句のもとやられてしまっている。


その中で従業員への投資教育ということで様々な研修が行われている事だと思う。

でも気を付けて下さい。

その説明の中で必ず「投資信託」が幾つも選択肢の中に入っている事だと思います。

これは株なり債権を予め決められた方針で保有するもの。

特に「日経225」連動とか「TOPIX」連動なるものが多い。

前者は日本経済新聞が定めた東証一部225社の時価加重平均で出した株価の指標。

後者は東証一部の全株の時価を全株式数で割ったものの指標で1968年4月1日を100としたもの。

気をつけなければいけないのは投資信託の銘柄により色々な手数料が掛かる場合があること。

手数料としては、購入するときの「買入手数料」、所有している時の「信託報酬」、売却する時の「信託財産留保額」があります。


「買入手数料」は販売会社に支払う費用。申込額の何%という決め方が多いです。

「ノーロード」と言ってこの費用が掛からないものが増えています。

「信託報酬」は運用に係る費用で資産の保有、運用報告書の作成、監査の費用で、運用会社、販売会社、信託銀行に支払われます。こちらは信託財産の金額に対して年額何%という決め方がされます。

最後に「信託財産留保額」とは、換金することによって投資信託に生じるマイナス、例えば運用を減らして金利を生まない現金を保有する必要があったり、途中換金でペナルティを支払う必要があったりするのを残った投資家に転化しない様に一種の「迷惑料」を差し引くもの。

投資信託の種類によって料率は異なるが、買入手数料は3%台から0、信託報酬は1%台から0.1%、信託財産留保額は1%から0.1%程度です。

少ない金額のように思われるかもしれませんが比較的安全な国内債券型の年間利回りは2%前後。

この債券価格が暴落するリスクもあるなかで、これらの手数料は馬鹿にならない。

投資信託を買うメリットは例えば日経225並の運用をしたいと思っても個人で全てを最低単位で購入すると数億円必要になります。

それを小さな金額で購入出来るようにしたのが投資信託。

他にも特定のテーマ、例えば「資源株」とか「新興国」に沿ったポートフォリオ、色々な銘柄の集まり、を組んでいるものもあります。

このポートフォリオ効果を取りたいのでなければ現物で取引をした方がコストは低くなります。

またトータルでの手数料率を下げるためには長期での保有が有利になります。


この様に市場全体またはその一部のリターンに応じた運用をする時に使用されて来たのがβ(ベーター)。市場やその一部が10%上昇した時に、ある銘柄が15%上昇した場合、β=15/10=1.5となる。

別の言い方をすると、その銘柄は市場やその一部の変動に対して1.5倍反応する。

色んな銘柄を集めてそのβを1と出来れば予想収益率は元の市場やその一部と同じになる。

別名「パッシブ運用」とも呼ばれます。「パッシブ」とは受動的とか「待ち」。

ひたすら市場やその一部と同一のリターンを追求。


一方で運用市場の低迷が続いた為、指標になる市場やその一部の上昇に期待してもリターンが大きく無いことが問題になった。

そこで市場やその一部のリターンに追随するだけでなく、運用者のノウハウや投資技術によって超過収益であるα(アルファ)を追求しようとするもの。

よって「アクティブ運用」のひとつであり、ここで「アクティブ」とは積極的との意味。


この区別では現在はアルファ運用が主流を示している。


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