ここで「右翼」の課外活動のお話です。
我々、1日自由行動の日を持ちました。
大部分の人はビーチでビールを飲んでプラプラしたり、観光地を巡ったり。
夕方、食事の為に集まった我々はビックリ‼︎
何と「右翼」は本当にジャングルの中に入って遺骨の収集を試みたのだった。
やおら取り出したカメラケースの蓋を開けて何かを取り出す。
(まさか?)
右手に握られていたものは、、、遺骨ではなかった。
しかし手の平からはみ出すくらいのその物体は何かの金属の塊の様。
先端が大きく潰れた様にひしゃげている。
全体としては丸い筒と言ったら一番当てはまるだろうか。
(こ、これは!)
「砲弾だ!」
「どこでこれ取ってきたんだ?」
「大丈夫なのか?」
次々と質問が飛び出してくる。
「遺骨を探そうとジャングルを歩いていたら、そこら中にこれが落ちていた。」
それはアメリカ軍の艦船から発せられたと思われる砲弾だった。
所々、錆びているが重量感が感じられる。
(こんな物が頭上から雨の様に降ってくるんじゃ生きた心地がしなかったろう)
「それでそんなもんどうするつもりなんだい?」
「勿論、持って帰る。」
「持って帰るったって税関通れるんかい?」
「まあ、見ていろ。」
自信に満ち溢れた「右翼」の顔。
所変わって帰国の途へつくサイパン国際空港。
出国審査は本人とパスポートと搭乗券のチェックだけなので問題無い(はず)。
問題は手荷物チェック。X線検査をどう切り抜けるか?
その時「右翼」が取り出したのは「カメラバック」。
当時は「フィルム」が使われていたのでX線で感光するのを防ぐ為に、X線を通さない物が売られていた。
(なかなかやるなぁ)
しかし、問題は成田。
密輸入を取締まる税関でこんな物が見逃されるはずが無い。
ところが「右翼」、ニコニコしながら税関のゲートへ近づいていく。
そして税関職員と言葉を交わしながらスーツケースを台の上に載せた。
税関職員はパスポートをチラリと眺めると何かを訪ねている様な仕草。
そして出口の方を指差してパスポートを返している。
と、次の瞬間、我々は信じられない光景を目にした。
何と「右翼」はニコニコとした表情を変えずにスーツケースを持ち上げると同時に、足元のカメラバックを足でゲートの先まで蹴飛ばしたのだ。
次の人に気を取られていた税関職員はカメラバックを拾っている「右翼」に気づかない。
ミッション・コンプリーテッド(ミッション完了)
その後、その砲弾をどうしたのか「右翼」に尋ねると、
「靖国神社に奉納した。」との答え。
(でも、それアメリカ軍の砲弾何ですけど⁉︎)


