学年ビリで不登校、自殺すら考えたけど、アニメとゲーム、そして友達のおかげでアメリカ名門大学生やってます! part1



死ぬ勇気はなかった


親とすら話したくなくて、閉じた扉の内側で、ずっとベッドの上から動かなかった。何度も何度もドアノブにかけたロープと睨めっこをした。近所の川沿いに立って、死体はここからどこまで流れるかを考えたこともあった。当時のパソコンの検索履歴は、自殺に関するワードでいっぱいだった。

今では懐かしい何年も前の話だ。今の僕を見ても誰もそんなことを思わないだろう。誰も信じられず、親と話す時には伝えられない感情が爆発して、泣きながらヒステリックを顕にしていた。こんなに世の中がつまらなくて、みんな嘘つきで、将来もダメダメ、生きている価値なんて何もない。なら、親が悲しもうがなんだろうが、死んだっていいじゃないか。


それでも、やっぱり死ぬほどの勇気はなかったんだ。


そんな勇気のない僕でも、今こうして明るい夢を抱いて前に進めている。それでも、不登校でアニメとゲームに熱中した僕だから、今こうして他の人には得ることの出来なかった唯一無二の価値を見出せた。

だからこそ、ゲームやアニメだけじゃない、自分のやっていることを周りから理解されず否定されて、誰にも相談できないまま不安に押しつぶされそうな中高生の君に、死ぬほどの勇気もない君に、僕の話をしようと思う。

あのビリだったギャルの話と似たタイトルだけど、話したい事は違うんだ。長くなるから、時間のある時に暇を見つけて読んでほしい。



中学受験失敗、反抗期、すぐに欠席日数300日突破


今の僕はアメリカの名門州立大学で大学生をしている。人並みに恋愛もしてきたし、大きな大きな夢もある。でも、ここまでくるのに色んな事があったんだ。


小学生の頃、クラスメイトとは週3で喧嘩をしていた。担任の先生相手には絵の具バッグを持って殴りかかった。校長先生にはソファーのクッションを投げつけて他の先生に拘束された。そのままカウンセリングに強制連行された時には「くそババア!死ね!」と、初対面のカウンセリングの先生に真っ向から罵声を浴びせた。

どれもこれも、納得のいかない事に対して自分なりに対抗していただけなんだけれど、今思えば、周りに馴染むという事がただただ下手くそだったんだろうね笑。

そして学校にはいかなくなり、早すぎた反抗期と不登校によって偏差値を15も落とした僕は、都内のそこそこの私立男子中学に入学した。


反抗期になったことを知っていた親戚は、受験して中学に入学したことを褒めてくれた。学校も塾も行かなくなったのに、すごいね、って。でも僕にとっては名前も知らなかった学校だから、嬉しくも何ともない。むしろそれで褒めてくる親戚の気を疑ったほどだ。

入学式の翌日には学校へ行かなかったし、たまに行っても隣の席のやつから授業中に消しカスを飛ばされた。もちろん、すぐに学校へ行かない選択肢を取った。何も今までと変わらない。


中学一年の家にいた頃の記憶はほとんどない。強いて言うなら、うちに警察が来た話がある。

毎度のことながら母親と大げんかをしていたんだけど、段々と体が大きくなる僕に耐えかねて母親が警察を呼んだことがあった。小学校の頃は絵の具バッグで担任の先生と大喧嘩した僕だけど、さすがに警察相手は怖かったんだ。下手したら捕まるんじゃないかって。それで何を血迷ったのか、玄関を開けた警察に対して扇風機を向けた。強で。T.M.Revolutionもビックリ。

出て行けえええええええ!一歩でも足踏み入れてみろおおおおお!不法侵入で訴えてやるぞおおおおお!」力の限り叫んだ。

警察の人は笑いながら「君、お母さんには優しくするんだよ。」と言い残し、帰って行った。

やった。警察を撃退したぞ。

そんな話だ。


僕は瞬く間に2年生になって、ついに欠席日数が300日を越えた。私立中学生が学校に行くのは年間大体200日だから、僕の座席はほぼ毎日空席だった。


ゲームは突然やってきた


中学2年生になった僕は、毎日のようにニコニコ動画を見て時間をつぶしていた。今では誰もが知っているゲーム実況動画というジャンルが流行りだした頃、僕はとあるオンラインゲームの実況プレイ動画を見て衝撃を受けた。

通りかかったプレイヤーに何気なくチャットを送ると、会話が始まる。気づけば、数分前に初めて会ったばかりの人と一緒にモンスターを狩りに行き、帰ってきたら一緒に卓を囲んで談笑していた。

今じゃありえないほどに淡白で手の込んでない、日常を垂れ流したような動画だったが、だからこそ現実味があったのだろう。

自信をなくして、人も信じられず誰とも話していなかった僕は、キラキラとした別世界に途端に引き込まれた。ここなら僕の居場所があるのかもしれない。ただただ眠くなるのを待つだけだった日々に、光芒が差し込んだように感じられたんだ。

僕はその日のうちにそのゲームを始めるためにゲームパッドを買いに行った。何日ぶりに日の光を浴びただろう。本当に久々の外出だった。


僕は別の世界で、女の子になった


家に帰ってきてすぐに始めたそのゲームで、僕は自分のプレイヤーとして迷うことなく女の子を選んだ。とことん別の人になりきりたかったからだ。

こんなこと言うのはバカバカしいかも知れないけれど、ゲームのキャラクターとして降り立った世界は、現実世界より何倍も広々と感じられたんだ。ここにプレイヤーとして存在している僕は現実世界の僕とは違う。そう思うとゲームの世界はとても新鮮で、新しい環境がただただ僕をワクワクさせてくれた。すぐに動画で見た場所へ走りだす。しばらく色んなお店や街を散策していると、突然声をかけられた。

一緒に遊びませんか?

喜びを抑えきれなかった。

それまで誰とも喋らない日々が続いた僕が声をかけられた。しかも、こんなに大勢いるプレイヤーの中から僕を選んで話しかけてくれた。例えるなら、胸の鼓動が体の中で踊り狂っていたような気分だったんだ。

はやる気持ちに正直に、僕はすぐに返事をした。

うん!もちろん!

一緒にモンスターを狩りに行くにしたがって、会話も弾んだ。次はどんなモンスターを狩りに行くか、どうやったら勝てるか、どの武器が強そうか。時間も忘れてしまうほどに、この世界にのめり込んだ。

気づいたら、お互いにフレンド登録をしていた。あっという間に出来てしまったこの世界での初めての友達に心が踊る。

まだまだ遊び足りない。また明日も一緒にモンスターを狩りに行けるだろうか?この人はいつまでこのゲームをプレイするんだろうか?

そんな僕の気持ちをよそに、時間がやってきた。

そろそろ寝ますね〜
わかりました!
あの、失礼かもしれないんですが、女の子ですか?
女の子です!><
あ、そうなんですね!私もです!よかった〜
また明日もやりますか?
同じ時間くらいにいると思うので、見かけたら声かけますよ〜!
やったー>< また明日!
はーい!また明日ね!

ああ、また明日も遊べるんだ。明日が楽しみだなんていつぶりだろう。嬉しい。

でも、初めての友達とまた遊ぶ約束をした高揚感と同時に、その友達に明かすことの出来ない嘘を吐いてしまった罪悪感が入り混じった。

今でもなんで女の子のフリをしたのか分からない。単純に女の子のキャラクターになりきってみたかったのもあると思うけど、きっと咄嗟に性別を偽って答えてしまうくらい、本当の自分のことを知られたくなかったんだろうとも思う。

現実世界でも、学校に行っていないことを家族以外に知られる事をひどく拒んでいた。その当時の僕にとって、学校に行っていないという事は恥ずかしいこと以外の何物でもなかったし、みんなと違うとのけ者にされるんじゃないかって怖かったんだ。


こうして、僕は別の世界で、女の子になった。


僕は別の世界で人気者になって、また居場所を失った


Part 1 お読みいただきありがとうございます。 

続きは Part 2 にて、「僕は別の世界で人気者になって、また居場所を失った」から書きます。

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