4月から無職になった31歳独身女子のライフストーリー#20

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承認欲求

仕事を辞めて気づいたことの一つ、承認欲求について書きます。


■人生に最高に高まった承認欲求

今から3年ほど前。海外駐在生活が一年を過ぎた頃。新規事業立ち上げとは言うものの、思った通りに結果が出ないことに焦りや憤りを感じていました。当初描いていた実績や自分像とのズレに、やるせなさを感じていました。未知の新興国での事業だったため、若干期待されていた部分が拍車をかけていたとも思います。通常、海外での新規事業立ち上げは3年間で軌道に乗れば大丸です。そんなこと、未熟な自分はよくも悪くも知らなかったので、一年以内の累損一掃を目指していました。もちろん、こんなたいそれた実績を上げる実力がなかった自分は、自分自身に焦りを感じ始めていました。こんなはずじゃない。本当はもっとできる。日本だったら、自分はもっと実績を出せる人間なんだ、と。


■「認められたい」

そんな想いとは裏腹に、結果は全く伴いません。それでも、目標からかけ離れた実績を毎月評価されます。上司からのあたりが段々きつくなります。些細な言葉も、妙に胸に突き刺さります。

そうして芽生えた感情が、「承認欲求」

上司に認められたい、自分はもっとできる人間なんだ。今の条件が悪いだけなんだ。現地の状況を知らないじゃないか。もっと自分の環境や条件をわかってよ。海外での厳しいビジネス環境でやってるんだよ。。。etc.

でも、そんな自分の気持ちを伝えられませんでした。一番認めて欲しかった上司は、直属の上司ではなく階層も離れていたため、直接話す機会はあまりありませんでした。それも重なり、上司への感情だけが日に日に蓄積されていきました。いざミーティングの機会があっても、限られた時間で自分の想いを伝えることは難しいことでした。想いを封じ込める度に、心臓がきゅっと締められ、鼓動は高鳴り、息は浅くなり、涙腺が弱まる自分がいました。


■承認欲求

頭ではわかっています。「他者からの承認ではなく、自分が自分を認めることが大事」なんだと。そんなの何百冊も読んだ自己啓発本で何度も目にしました。言われなくても知っています。でも、知っていることと実践することは、天と地ほどの差なのです。わかっているけど、「できない」のです。どうしようもないのです。心の声を封じ込めることしかできなかった自分には、自分の認め方なんて到底わからなかったのです。それよりも、上司からの承認がどうしても欲しかったのです。少しでもいいから、よくやってるな、と自分を認めて欲しかったのです。でも、どうしても言えないのです。実績をだしていない自分が偉そうなことなど言える身分ではないのは重々承知なので、上司に想いを伝えるなんて怖くて怖くてできないのです。そんな勇気、傷付いた自分には到底なかったのです。


■認めてもらうことを諦めた

こんな想いを抱えたまま、2年ぐらい過ごしたと思います。時間の経過に流されるまま、担当上司が変わりました。そして、駐在生活が3年を過ぎるころ退職を考え始めました。会社にもう自分はいない、ということをリアルに考え始めると、上司からの承認なんてどうでもよくなりました。当時の仕事に対しても思っていた以上にやりきった感を得ていたので、過去の上司からの承認なんて得られなくても、会社を去ることに未練はありませんでした。一種の「諦め」です。しかし、その頃から、承認欲求がいつの間にか減っていることに気づき始めました。当時の仕事に納得感を得ていて、他者に求めるものが少なくなってきたとき、承認への種着がなくなっていて、結果、承認欲求も減っていました。


■自分が自分を認めること

今になればよくわかります。なぜ、あんなに承認欲求が高まっていたのかを。それは、「心の声を封じ込め続けていたから。」確かに感じる大きな感情があったのに、心の声は必死に泣いて叫んでいたのに、それを決して外に出すことはなく、まるでなかったことのように抑え込んでいたから。「心の声を抑えることは、自分自身を認めていないことと全く同じ」です。確かに湧く感情を認めないことは、そこに自分がいないとすることと同じです。当時の自分は、心の声を肯定できずに否定していたので、自分が自分を認めていなかったのです。その結果、他者が自分を認めないという事象として現れていたのです。これは、自分へのメッセージでした。上司が自分を認めないことを通じて、自分が自分を認めていないことを教えてくれていたのです。


これを書いている今、自分のスケジュールの勘違いで元職場近くのカフェにいます。それもあり、前職での経験を思い出し、過去に感じた承認欲求についての気づきがあったので今綴っています。

今は、承認欲求からは全く遠いところにいます。それは、会社を辞めたからという外部的な要因だけでなく、心の声に耳を傾けている自分がいるという内部的な要因もあるからです。

自分で自分を完全に認められた先には、どんな他者をも認められる自分がいるのかな。


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