本当に助けたい!役に立ちたいと思えるリーダーについて考える。〜パン屋の店長にめっちゃ怒られた話。
某コンビニの店長さんがシフトについてバイトに向けたメッセージが話題になっています。
この記事を見たとき以前パート勤務として小さなパン屋さんで働いていたときのことを思い出しました。
某コンビニ店長さんのメッセージは、端折って書くとこんな感じ。

お店に籍を置いて働くからにはもっと責任感をもって、自分の都合ばかりを優先せず、お店が回ることを最優先に考えて行動してください。
「バイトなのに店を最優先て無茶言うな〜」正直そう思いました。
しかし私は今、フリーのデザイナーとして起業し外注や定期契約で事務仕事をお願いするなど、人を雇う立場にもなり、この店長さんの言いたいことや気持ち、立場など全部は無理にしてもなんとなくですが理解できます。
こちらからお金を支払いお仕事をしていただく分、やはりこちらが提示した条件、またその金額分のお仕事をしていただくということは必須で、それは満たされて当然のことと考えるのですが。。。やはり関係性が慣れてくると(要するに「仲良くなりすぎる」です)それが難しいなと感じることがよくありました。
そんなとき、あの人のことを思い出します。

パート勤務でこんなに怒られたのは、後にも先にもこれっきりでした。
あの人とは、私が起業する前に出産を理由に元の会社でデザイナーを続けられなくなり、働いていたパン屋の店長。
小柄で元気よく、パチンコ大好きで声が大きく、いつも笑っていて元気なオバチャンでした。
決して仕事ができるタイプではなく、時折パンを焦がしては「キャァ〜〜!」と大騒ぎ。グレた娘が問題をおこして学校から電話がかかってきても「あーもう放っといてください。スミマセン」と笑い、店のレジカウンターで「また中学から電話かかってきたわ〜ハハハ」と常連のお客さんと笑い合う始末。いつも笑って「休みたいわ〜」が口癖。
店長はその天真爛漫なせいか、私たちパートからも近所のお店の人からも、常連のお客さんからも好かれていて、悪口なんて聞いたことありませんでした。
私自身も割り切った時給800円(当時の大阪府最低賃金)のパートでありながら、家でパンのPOPを作成してきたり、声を張り上げて呼び込みをしてみたり、どうにかこの店がもっと売れないかと頭を捻ったものです。
問題になっているシフトもこのパン屋には、「年中無休、朝8時〜21時まで営業」にも関わらず「誰もシフトに入ってくれない」なんてことは一度だってありませんでした。
そう。従業員全員が「この店長の笑っているところが見ていたい」そう思っていたのです。
なぜこの店長はここまで愛されるのか。
授業員はこの店長のために自ら店のことを考えた行動に出られるのか。
確かにいつもこんな調子の店長、、働く側がしっかりしないとこっちが心配になるという気持ちもありました。
しかしながらそれは、店長のこういった日々の「在り方」にあったと思います。

おはずかしながら私は一度だけ、そんな店長にめっちゃ怒鳴られて怒られました。
普段は、私がレジの打ち間違いをしても、不手際からお客様からクレームがきたとしても、こんな風に怒られたことはなく。
理由は1つ。保育園から「息子が突然歩けなくなって、念のため病院に行っています。」と連絡があったにもかかわらず、そのまま業務に戻ったから。
息子はもともと、時どき成長痛で脚の関節が痛く動けなくなることがよくあり、それは病院でも診察済みで保育園にも報告していて、ちょっと時間をおけばすぐに痛みは治まるので、全く問題に感じていなかったのです。

いつものことだと説明をしたのですが、店長は私から袋詰め作業中のパンと袋を取り上げるとサッと片付けてしまいました。
「息子ちゃんかわいそうに!」
私は勤めていた会社を、立て続けに起こる保育園お呼び出しコールによる早退で続けられなくなり、「ちょっとぐらいのことで、職場に迷惑をかけてはいけない」と思い込み、今から思うと、どこか麻痺していたのだと思います。
店長はそんなことはお構いなしで、ただ突然の痛みと病院送りになった息子の気持ちを察し、私を怒鳴りつけたのです。
店長だって決して楽だったわけじゃありません。その店でパンを焼くのは店長一人。早朝の仕込みから夜21時まで続く営業で定期的にパンを焼き続けないといけません。それに年中無休のため店長の休みは一ヶ月に1〜2日あるかないか。本当はくたくたでパンを焼きながらレジを打ちながらなんて、かなりしんどかったはず。
私は店長に追い出されるように身支度を調え店を出ました。
店を出るとき、ちょっと(いや、かなり)不細工なアンパンマン風チョコレートパンと他に数個持たせてくれました。
病院へ向かう自転車を漕ぎながら、少し泣きそうになっていたことを今でも覚えています。
雇う側と雇われる側の関係として
コンビニにしても、パン屋さんにしても、デザイナーにしても。確かに職種や状況や立場は、全く違うと思います。
でも、「人と一緒に仕事をする。」ということにおいては共通点があるのではないでしょうか?
当然、最初の面接で互いの条件の擦り合わせや、それを守ろうとする姿勢は重要だし、雇われる側も立場環境に甘んじて守らないのは言語道断のことです。
ただ、やはり雇う側も「こんな人に付いていきたい!」「役に立ちたい!」と思われる人であることも、とても重要なことと思います。
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