ファイナンス入門 (11) 企業価値評価1

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Valuation(ヴァリュエーション:企業価値評価)という言葉がファイナンスの教科書を開けると必ずの様に出て来る。なんのこっちゃ? 大丈夫、企業の値段をどう決めるかという事です。

M&Aブームになると、この言葉が良く出て来る。

かのマッキンゼーから同名の本が出ているが現在発行されているのは第6版だからいかに前からのトピックスか分かると思う。

英文でページ数850余の大作、でも心配は要りません。

必要な考え方はキャッシュフロー、現在価値だけです。


キャッシュフローと言うのは名前の通り、企業を通過して行くお金の流れ。

「おいおい、会社の損得は損益計算書で見るんじゃなかったっけ?」

素晴らしい記憶力です。

そうですね総収入から総費用を引いたものから税金を引いたものが税引後当期損益として会社に残る利益です。

「それに会社の財産や借金の状態を示すのが貸借対比表でしょう?

会社の評価にこれ使わないの?」

またまた素晴らしい。覚えていらしゃったんですね?

これらも企業の価値を評価する時に使いますが、そのままではありません。


その点を説明する前に、特殊な例として証券市場に上場されている会社の価値はどうなるでしょう?

上場されている株式の値段は売りたいと思っている人と、買いたいと思っている人の思惑が一致したところで決まります。

これを市場価格とかマーケット・バリューと呼びます。

この市場価格に発行済み株式を掛けたものが「時価総額」と言って市場が評価した企業の値段になります。

ところでAという上場企業を買いたい企業が現れた場合、その時価総額を出せば買収する事ができるでしょうか?

残念ながら難しいでしょう。

何故ならどんなに秘密裏にその株式を買い集めても株価を上げずに全てを購入するのは難しいです。

上場企業の株式のを5%を超えて保有した場合、金融庁に大量保有報告書を提出する必要があり、かつその後1%の変動がある度に変更報告書を出さないとならないからです。

これらの報告書は開示されますので市場関係者は「ああ、A社の株式を買っている会社のがあるな。これは株価が上昇するかも知れない。」と、今の株価では売らなくなってしまいます。

そこで通常上場企業の買収をしようとする場合にはTOB(Take Over Bit:公開買付け)という制度を使い今の株価に通常2〜3割のプレミアムを付けた価格での売却を応募します。

日産が三菱自動車の支援に乗り出す際に急いだのも、日産の支援が市場に知られて買収価格が上がる事を怖れたから。


話をキャッシュフローに戻しますが、皆さんは「キャッシュフロー経営」なる言葉を聞いた事がありますか?

実はこの言葉が流行ったきっかけは大企業による不正経理の頻発。

新しい事業の発生に会計や規制が追いついていけない事を良い事に、「錬金術」の様に売上を嵩上げたり、実態の無い資産の評価を上げたり。

米国の総合エネルギー会社エンロンや通信会社ワールドコムの不正は社会の「決算書」への信頼を失墜させた。

今日でも企業の不正経理の多くは「売上の嵩上げ」、「資産の過大評価」であり、会計上の評価や判断が入る「決算」は信用ならないという気風が高まった。

例えば償却資産の償却年数。耐用年数の判断の違いで1年あたりの費用が半分になったりする。

そこでより明確で確かなものとして目を付けられたのが「キャッシュ」。

お金の動きはお札やコインであろうと、銀行口座であろうと証明が容易。

ここに会計上の評価や判断に左右されないキャッシュフローを企業の価値の評価の元にしようという考えが出来てきた。

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