ファイナンス入門(12) 企業価値評価2
何故キャッシュフローが使われる様になったかが分かったら次はキャッシュフローの出し方。
ここで方法が2つある。
一つはお金の入りと出を直接見る方法。出納簿みたいなもの。
もう一つは損益計算書から導くもの。損益計算書の収入、費用で現金の出入の無い物を調整する方法。
例えば、前出の償却費。買った資産を耐用年数で費用に落としていくのだが、キャッシュフローの見方では購入時にその購入代金が出て行き、その後の償却費はキャッシュフローを伴わない。
よって購入時には購入代金がマイナスになり、その後は償却費分プラスになる。
同様に物を売った場合に、損益は売買代金-簿価残、であるが簿価残はキャッシュフローを伴わないのでプラスになる。
売上も売掛金を回収した分だけなので未回収分はマイナス。
逆に費用は未払いがあればキャッシュフロー的にはプラス。
こうしてキャッシュフローを計算する。
将来のキャッシュフローを計算するのも同様。
まず損益計画を作成して非キャッシュフロー項目を調整する。
次の段階に進む前に「現在価値」のお話。
仰々しい名前だけど心配無用。
企業の価値を測るのにキャッシュフローを使うのは理解頂いたと思いますが、将来のキャッシュフローをそのまま足して良いのかという問題があります。
将来のキャッシュフローより現在のキャッシュフローの方が今使えるので意味があると思いませんか。
この差を補うために今持っているお金を使わずに将来まで預金すると金利が付いて来ます。
逆に言うと将来のキャッシュフローを今、現在の価値にするには金利分割り引いてやる必要が有ります。例えば1年後の100と言うキャッシュフローを現在の価値に引き直す時、金利が10%ならその現在価値は100/(1+0.1)=91になり、2年後も100のキャッシュフローで金利が10%なら、その現在価値は100/(1+0.1)(1+0.1)=83と複利で割引きます。
じゃあ永遠に続く損益計画を作って、それをキャッシュフローに変換して足し続けるの?
という悲鳴が聞こえそうですが大丈夫。
ある年数から先の影響は限定的な為、そこからは一定の割合でキャッシュフローは成長すると仮定すると数学の助けを借りて、最終年のキャッシュフローをCとし、金利をr、成長率をgとすると、最終年における最終年以降永遠のキャッシュフローは、C/(r-g)と簡単に表せる。
そして最終年がt年数だとすると、これを現在価値にするのを忘れないで。
実はこのキャッシュフローの計算で計れるのは事業からの収益の価値。
もしそれ事業様以外の資産を持っていればその市場価格を足し、借金があれば今度は引けば良い。
大変大雑把に思えるかも知れないが、実際のM&Aをやった経験から言うと、この大まかな考え方を理解するだけで十分に思う。
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