ファイナンス入門 (14)ファイナンス

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ここ迄色々と広範な範囲をカバーして来たが、ファイナンスと言って一番ピンとくるものを忘れていた。

普通ファイナンスと言うと一番最初に思い浮かぶのは「銀行」や「証券会社」。

そう、ファイナンス=「資金調達」と言うのが一番しっくりくるのでは無いだろうか。

企業が事業を始めるのには、例えばそれが製造業なら、場所を借りる、設備を購入する、人を雇うというという活動が必要。そして原材料を仕入れて製造した物の一部は注文がいつ来ても良いように在庫として抱える必要がある。

これらの全てにお金が必要。

設備を購入する為に調達するのが設備資金。

仕入れをして製造した物を販売してお金を回収する迄間に必要なお金を調達するのが運転資金。


調達の方法は大きく分けると2つ。

先ほどのファイナンスと言った時に奇しくも出てきた「銀行」と「証券会社」。

銀行からの資金調達は「借り入れ」、ローンとも言う。

証券会社を介しての資金調達は「株による調達」、エクイティーとも言う。

介してと言うのは資金の出し手が証券会社なわけでは無く、その背後に「この会社になら投資しよう」という資金の出し手「投資家」が居て、証券会社はその中間に入ってコーディネートをして手数料を得ている。

ローンは金利を払う必要と満期になったら返済をする必要がある。この支払いが滞ると担保を出していれば競売で売られてしまうし、そうでなくても裁判で訴えられて支払いを命じられる。

基本は借りたものは返す。

一方、株による調達に対しては投資家は2つのことを期待して投資をしている。

一つは買った株式の値上がり、もう一つは配当金。

株式の値上がりは市場の評価だから企業の懐が痛む問題ではないし、値段が下がっても訴えられるわけではない。株主総会で退任要求をされたり、役員に重大な問題があった場合には訴えられるがそれらは例外。

配当金は業績が 良い時は払えるが、損失が出ている時には支払わなくても良い。会社と投資家が共に耐えるという感じだ。

よって株による調達の場合は、その使途と将来の企業の利益計画がどうなるかの開示が求められる。

銀行のようなプロの目による審査を経た借り入れと、一般の投資家による出資を区別しているとも言える。

一方で株による調達では発行される株式数が増加する。よって利益が増加しないと一株当たりの利益が低下し、投資家にとっては魅力が失せて株価の低迷に繋がり、次回以降の株による調達の際により多くの株式を発行する必要がでてきて、更に利益が薄くなる恐れがある。これを「株式数の増加による一株当たり利益に『希釈化』」と呼ぶ。


もう一つの違いは借入金に対して支払う金利は税金を計算する際は費用として認めてもらえるので利益が出ているのであれば税金が減る。

配当金は税引後の利益がから支払うので、この節税の効果はない。


以上の様な借り入れ、株による資金調達の特徴を考えて、企業価値を最大にする資金需要に見合う調達の組合わせを検討することがファイナンスの重要性な役割だ。




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