ファイナンス入門 (15) 行動ファイナンス

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従来の経済学は市場における参加者が数学的に表現しやすい単純な判断基準に応じて行動するという仮定に立って理論を構築している。所がこうして導き出した理論では人々の判断や行動を説明できない事例が増えてきた。

従来の経済学で前提とされていた登場人物は「合理的経済人」と呼ばれる。

例えば複数のものの中から何故ある物を買うのかは、各人に共通な「効用」の大きさによる。

そして不確実性のある場面では確率論による期待値の大きさによって選択を行うと。

ところが実世界での人間の行動を見ていると、これらの合理的な判断と異なる判断を行う事が観察される。

その為、非合理的とも思われるそれらの行動を集めて、そこから人間の判断の類型を探し出していくというのが行動ファイナンス。

よってそのアプローチは伝統的な経済学が理論が先で次いでその適用となるのに対して、現実が最初で次いで理論という事になる。


よく出される事例だが以下を考えてみよう。

① 利益の場合

選択肢1: 無条件に100万円が貰える。

選択肢2: コインを投げ表なら200万円、裏なら0円貰える。

どちらの選択肢も期待値は100万円。

貴方ならどちらのの選択肢を選ぶだろうか。

② 損失の場合

貴方は200万円の借金がある。

選択肢1: 無条件に100万円減額されて借金が100万円になる。

選択肢2: コインを投げ表なら支払が全額減額されて借金が0に、裏なら変わらず200万円の借金のまま。 この場合も減額される借金の期待値はどちらも100万円。

こんどはどうだろうか?


①の場合、多くの人は選択肢1を選ぶと言われている。

選択肢2で貰える金額が2倍になるかもしれないが、50%の確率で何も貰えない状況を回避する為だと言われる。

一方で②の場合は多くの人は選択肢2を選ぶと言われている。

この場合、選択肢1では確実に100万円を支払わなければならないことになり、50%の確率でも良いので全額の支払を免れる選択肢を選ぶと言われている。

これらは「プロスペクト理論」と呼ばれ、上記の例の他に、利益が出ている時は投資家は利益に敏感になるが、損失のが膨らんでいる時には損失に寛容になるという発見もある。


その他にもカリスマ投資家の追随を行う「後光(ヘイロー)効果」、周りが買うから買い、周りが売るから売るという「追随化」などが仮説として取り上げられている。



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ファイナンス入門 (16)コーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコード

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