屋久島へ自分探しに旅立った男の話~第一話 屋久島への旅路の前に~
プロローグ
10月某日、朝7時。
外は、強烈な風が吹き荒れ、猛烈な雨が降っている。
場所は、羽田空港のロビー。
飛行機は飛ぶのかと心配そうに電光掲示板を見ているたくさんの人々。
電光掲示板は、欠航の文字で埋め尽くされていた。
そんな中、鹿児島発の飛行機に乗るため、大きな荷物を抱えながら、
ある一人の男もその電光掲示板を眺めていた。
この物語は、屋久島へ自分探しに旅立った男の信じる心が奇跡を起こした話である。
屋久島への旅路の前に
あるところに自分探しの旅をしている男がいた。
その男の名前は、岩間。
岩間は、「自分とは何者なのか?」の答えを探すため、自分探しの旅をしていた。
時には、自転車の旅をしたり、
時には、富士山に登ったり、
時には、滝修行に行ったりと。
だが、自分を簡単には見つけられなかった。
諦めきれず、次の旅先はどこか探していた。
そんな中、テレビを見ていると、ふとある特集がやっていた。
それは、屋久島の特集だった。
その特集を黙って見ているうちに
「もしかしたら、屋久島に行けば自分が見つかるんじゃないか」
そんな小さな希望を持ち始めた。
その希望は、日を追うごとに大きくなり、ついには「屋久島に行こう!」という決断をすることとなった。
決断した後の岩間は、早い。
自分探しの旅恒例のルールを決める。
①一人で行く
→一人じゃないなら、自分探しの旅じゃないから。
②縄文杉は必ず見る
→これは必須。
③できるだけ安い旅費にする
→通常10万円はかかると言われている屋久島をいかに工夫して、安く行けるかがポイント。
④無茶はしても、死ぬようなことはしない
→命は、大切だよ。
それから、まず屋久島はどういうところなのか調査を開始した。
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・”屋久島では月に35日雨が降る”と言われるほど、雨が多い地域。
・縄文杉の道のりが往復で11時間。
・白谷雲水峡は、もののけ姫のモデルになった。
・こだまが現れるかも。
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調べれば調べるほど、魅力的であり、それと同時に過酷さを伴うものだと感じた。
次は、プランを考える。
普通のパックを見るとやはり10万円以上は必ずかかる。
だが、ここで諦めないのが、旅に慣れている岩間。
細かく見てみると、意外と安くできるポイントがあり、妥協せずにプランニングした。
なんと3泊4日、縄文杉ツアー込みで7万5000円でプランニングすることができた。
これで、ルール①②③をクリア。
条件は揃った。
あとは、出発を待つばかりとなった。
屋久島への一つ目の壁
出発まで2週間に迫ったある日、あるニュースが飛び込んできた。
それは、鹿児島と屋久島間の流木ニュースだった。
鹿児島から屋久島に移動する際に使う予定のフェリーが流木によって、運休になってしまったのだ。
フェリーが使えなくなると、飛行機を利用することになり、プラン変更とお金が余計にかかってしまう。
一瞬、不安が脳裏をよぎったが、
「いや、大丈夫だ」
なぜか根拠のない自信があり、プラン変更はせず、そのままでいく決断をした。
そして、数日後、根拠のない自信通り、流木はなくなり、無事フェリーで行けることになった。
屋久島への二つ目の壁
出発3日前。
再び、岩間に悲劇が起こった。
屋久島へ出発する当日に超特大台風が東京に直撃するというニュースが飛び込んできた。
「なるほど。これは試されているのか。」
自分探しをしている人にありがちな意味の分からない意味づけをしていた。
さすがに自然には勝てないと思い、ただ出発できることだけを信じた。
念のため、出発前日に旅行会社に電話して、状況を確認。
「とりあえず明日は空港に向かってください」
ということで、荷物を準備した。
「明日、本当に飛行機は飛ぶのか。」
行けるという根拠のない自信と行けないんじゃないかという不安との間で葛藤しながら、
岩間は、眠りについた。
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