【第4話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

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要介護認定の訪問調査

そして土曜日。


介護福祉士さん、ケアマネさんとの面談をするため、父の自宅に向かう。

当時は知らなかったけれど、要介護認定を受けるためには調査員が現況の調査、つまり申請者(この場合は父)の自宅で、本人や家族に直接会って話を聞くことが必須になっている。今回はそのための調査、というわけだ。

とはいっても、父は一人暮らし。しかも、姉も私もこの数ヶ月は父と会ってもいなかったのだ。こんなことができなくなりました、とか、前はこうだったけど最近はこうです、といった具体的な話しができない。

もし、私達がそういう話をできないせいで、認定されなかったら…。

そんな不安を覚えつつ、でもそういった状況を素直に話すしかないよな、と複雑な気持ちで面談の時間を迎えた。


そんな不安はいらなかった。…悪い意味で。


質問に答えられない父

病院で会った時も、父は普段よりボーッとしていて、若干会話も噛み合わなかった。

とはいっても

(救急車で搬送されたて本人も動揺しているのかな…)

と思う程度だった。私の顔を見て

なんだ来たのか、大丈夫なのに

って普通に笑ってたのだ。


でも、ボーッとしていたのは体調が悪いせいでも、動揺したからでもなかった。


この日、調査員さんの質問に、父の口から出てくるのは

えーと、どうだったけな…
ちょっと…すぐ思い出せないなぁ

曖昧な答えばかり。


姉が病院に連れて行った時にも、先生から言われてて、ある程度覚悟はしていた。

先生
加齢のせいかもしれませんが、認知症の可能性がありますね

その言葉が、現実として突きつけられた。


そして、それは「父と一緒に暮らす」のではなく「父を施設に入れる」選択をしなければいけないことでもあった。


それも一刻も早く。


つづく

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