太陽が生まれたハーフマイルビーチ その9

次話: 太陽が生まれたハーフマイルビーチ その10

いよいよ逗子海岸で海の家がオープン。

昨年まであった南国風情の海の家、いや今はビーチハウスに加えて今年は中華様式、赤い柱に金色の模様と益々バラエティ豊かに。

食事も定番のカレー、ロコモコそして今や主流の「手ぶらでBBQ」に加えて本格的な「家系ラーメン」も。

日に焼けた若者が切り盛りしているビーチハウスはおじさんには入りにくいなと、かいがんを端から端まで歩きながら物色。


‼️

葉山に一番近いところにウオーターパークの受付があるが、その隣にひっそりと昔ながらの海の家があった。

入り口の所にはおばあさんが帽子を被って椅子に座っている。

近づいて行くと、「いらっしゃい。」の声。

中にはおじさんが一人座っていたが、どうやら海の家の人らしい。

「はい。1,500円。」と、おばあさんが籠を私の方へ渡しながら言う。

「あっ、すみません。食事なんですけど。」

ちょっと気まづそうにそう言った。

「あら。じゃあ奥へどうぞ。何処でも空いてますから。」


さてとメニュー。

生ビール600円。これは外せない。

ラーメン 600円と焼きそば500円。

うーん。汗かいたからラーメンかな。

「すみません。生ビールとラーメンください。」

そこに座っていたおじさんがやおら立ち上がり伝表に記入して奥の厨房に声を掛ける。

「生とラーメン」

こちらに向き直って、「はい、じゃあ1,200円。先にお願いします。」

番号札がテーブルに置かれる。

沖の方から風が吹き込んでくる。

海の家の中だと日陰で結構涼しい。

そうこうする内に、「お待ち。」という声とともにカチカチに凍ったジョキに注がれた生ビール。

唇をジョキにつけると、おー冷たい。


ついでラーメン。シンプルな正しい海の家の醤油ラーメン。

最近、具がたくさん入っていたり、スープが濁っていて麺が全く見えないラーメンが多い中、具はシナチクと、ワカメ、ハムより小さく薄いチャーシューのみ。

一緒に出てきた塩コショウが威力を発揮しそうだ。

思いっきり塩コショウを振って一口食べてみる。

うーん。これだ。

生ビールが進む。

でもあっさりとしている分、量的にはちょっと物足りない。

生ビールも残り少ないし何か他に一緒に頼むものはないかなとメニューを見る。

焼きそば?流石に炭水化物ばかりもどうやら。

唐揚げ? お子様じゃああるまいし。

おでん。これだ!

「すみません。生ビールとおでんください。」

先ほどと同じ様におじさんが厨房に叫ぶ。

大きな鍋からおでんを取り出すと思いきや、冷凍庫を開け中から袋を取り出して電子レンジへ。

まあ衛生的だしな、と誰に言うのでもなく妙に納得。


今年の夏はここの常連となりそうなそんな気がする。




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