【第10話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。
またもや会社を途中抜け
数日後、病院から電話。
看護士さん
先生から病状説明などのお話がありますので、○日の午後4時に病院にいらしていただけますか?
私
(また平日か…)わかりました、お伺いします。
また、仕事を抜けなければいけない。
気まずい思いを少し抱えながら上司に報告すると
上司
わかったー。アポイントとか入れてたら、そこはズラすなり、事前に対応しておいてねー
あっけなくOKが出た。
少し話がずれるが、私はこの上司に何度も助けてもらった。
とにかく「家族」に係ることでの欠勤、早退、遅刻は、
本当に一回もNGが出たり、怒られること、嫌がられることはなかった。
この件だけでなく、業務等も含め、私が経験した職場の中で
彼は「一番の上司」だったし、今もそう思う。
本題に戻ろう。
上司の許可ももらったので、私は病院に行くついでに
もうひとつ、大きな仕事を片付けようと決めた。
家賃の支払、解約準備
恐らく2月から、父は家賃の支払をしていない。
なぜ「恐らく」なのかといえば、銀行から振込や引き落としをしている形跡がなく
別の方法で支払っているか、まだ探しきれてない口座があるはずだ。
会社に戻らなければいけない私の時間は限られている。
あの汚部屋から探し出す余裕はない。
ただ、「なんでもとっておく」父のおかげで、管理会社は分かっていた。
駅前のエ○ブルだ。
病院へ行って、帰りに駅前のエ○ブルで、家賃の状況と支払を確認して
未払いがあれば、そこで支払ってしまおう。
私
これで一歩前進!
病院を17時には出るとして、バスで駅まで10分。
エ○イブルの場所は分かってるし、18時には電車乗って会社に戻ろう。
病院を17時には出るとして、バスで駅まで10分。
エ○イブルの場所は分かってるし、18時には電車乗って会社に戻ろう。
段取りもバッチリだ。
外は大雨だったけれど、少しでも前進できる予感に
それほど憂鬱にならずに、父の病院へ向かっていた。
今、その時の私に伝えられるなら言いたい。
私
あなた、帰り道はこの雨と同じくらい泣きたくなるよ。
もちろん伝わるはずもなく、
私は、この「雨」に打ちのめされることになる。
つづく
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