top of page

16/7/18

【第12話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

Image by Olia Gozha

少しずつ、進み始める

涙をこらえながら、電話に出る。

「はい、ヨシザワです…」

相談員さん「S病院相談員の○○です!先ほどは色々お話頂いてありがとうございました!」

「いえ、とんでもないです…」

相談員さん「それでですね、江東区の施設に連絡したところ、空きがあるようなので、とりあえずご家族の方で先方に連絡して、施設見学を予約していただきたいと思いまして。今からお電話番号申し上げてよろしいですかね?」

「えっ、あっ、ちょっとまってください!」

え、左手で傘さしてるじゃん。

右手で電話出てるじゃん。

メモとペン…どの手で持てばいいんすか!!!!


心の中でしか言えないヘタレな私。

すぐ近くにあったマンションの玄関口(軒先?)を少しだけお邪魔させてもらって、傘を置きカバンからメモとペンを取り出すことに成功した…。


ついでに会社にも、雨で諸々遅れていることを連絡。

少し気持ちを落ち着かせて、そのまま徒歩で駅前のエ○ブルに向かった。


大家さんと連絡が取れた

エ○ブルに到着し、事情を説明すると、すぐに調べてくれ

(担当の副店長さんがめっちゃいい人で、また少し泣きそうになった)

その結果…

毎月1回、大家さんが直接家賃を回収

という、物凄くアナログまたはレトロまたは下町情緒あふれる支払方法だった。

副店長さんが大家さんに電話をしてくれ、そのまま私に電話を代わってもらう。


事情とお詫びをしたところ、

大家さん「この間お伺いしたときに、いなかったから心配してたんですよ~。無事で良かった!」

「すみません、それで家賃のほうなんですけど、すぐに銀行振込しますので、口座情報を教えていただけますか?」

大家さん「あら、そうしたら再来週にアパートに行くので、その時に直接って形でもいいかしら?」

「(直接お会いしてお詫びしたほうがいいしな…)はい、ではそちらでお願いできますでしょうか。」

お互いの携帯番号も交換して、電話を切る。

副店長さんから、大家さんと直接解約の話をして問題ないです、と言っていただけたので

とにかくお礼をひたすらにして、エ○ブルを辞した。

すると、もう雨は小降りになっていた。


この日のことは今でも鮮明に覚えている。

時間への焦り、ひとつ先がどうなるか分からない不安、冬の雨の寒さ。

そんな状況で、出会う人すべてが優しくて、

そして、一歩、いや半歩だけど前に進めた日。


多分、自分が死ぬときまで、この日のことは忘れないと思う。


つづく

(全然構成とか考えずに書いてたら結構長編になりそうな予感…でもどれだけ長くなっても最後まで書きます)

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page