母がアルコール依存症だと気づいてから10日間地獄を見た話。
はじめに
母が変だ。何だ?
えっ、まさか…。
これが俗に言うアルコール依存症なのかな…。
と薄々気づきだした頃、地獄はすでに始まっていた。
母がお酒に溺れたきっかけは借金だったようだ。
闇金からの取り立てが世にも恐ろしい出来事だったらしく、現実から目を背けたかったのだろう。
実際は母が闇金から借りていたわけでは無く、母の実母が借主で、母は保証人だったらしい。
増え続ける借金
実家は田舎で小さな旅館をしていた。
母の実母(私から見ると祖母にあたる)が経営者で、母はそれを手伝う形だった。
昔は流行っていたこの旅館も、町の景気が悪くなるのと同時に経営状況も悪化していった。
改装費などを銀行から融資してもらっていた分がだんだんと返済出来ない状況になったようだ。
返済日に不足分をまかなうように他社から借りて自転車操業しているうちにどんどん膨れ上がる。
にっちもさっちもいかない状況に行き詰まった祖母は
闇金に手を出したようだった。
母は取り立て屋が来る度に怖い思いをさせられるのが苦痛でしょうがなかったらしい。
後で聞いた話によると、
「この際、旅館中の酒を片っ端から飲んでやろう」と思ったらしい。
一日中酒を飲み続けた結果立派なアルコール依存症の出来上がり、というわけだった。
母の飲酒習慣
旅館を手伝う、と言っても夜に行われる宴会に顔を出し、
お客さんと一緒に飲むということが多かった。
母は典型的な怠け者で仕事はほとんどしないが、夜の宴会には率先して顔を出していた。
私にとってはビジネスというよりただ単に知り合いと飲みたい!
という印象しかないのが本音だった。
宴会が無い日や店休日は父と飲んだりと、
普段から毎日アルコールを摂取する習慣はあった。
毎日お酒を飲むということが当たり前の環境に育った私は、
これが普通だとすら思っていた。
それゆえに飲みかたがおかしいと気づくのに時間がかかってしまった。
アルコール依存症の知識が全くなかったというのも致命傷だった。
知識が無いゆえに目にした光景にはショックが大きかった。
地獄を見たことは無いが、
私にとってはこれはまさに地獄と表現するに値する経験だった。
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