【第4話】友達 出会い 真っ白
僕は従業員専用の個室の鍵を片桐さんから貰いベットの上で休んでいた。
デスクとベットだけのこじんまりとした部屋。ホテルの部屋と違って、豪華ではないが、窓から緑豊かな景色を一望できるので、僕は大満足だ。
そっと目を閉じた。
明日はついにこのペンションでの初仕事が始まる。
仕事なら大丈夫だ。僕は意外と几帳面だし、集中力もある。
なんていったって、ブラック企業に勤めていたMr.社畜。同期の中で救急車で運ばれなかったのは僕だけ。ちょっとした自慢だ。
東京のことを思い出していたら、いきなり隣の部屋から吐息が聞こえてきた。
リズムよく「フン、フン」と言っている。
そういえば、たしか隣も従業員部屋だ。一体何をしてるんだろう? 僕は、妙に気になった。
あいさつがてら、見に行ってみようかな...
怖い物みたさから、自分の部屋を出て隣の部屋を見に行った。ドアが少し空いている。
そっとそこから中の様子を覗こうとした、その瞬間...!
バン!
ドアがいきなり開いた。ウワッと!僕はのけ反り、尻餅を着く。
ドアの前には、坊ちゃん刈りの髪型で180cmくらいの恰幅の良い青年が立っていた。
そして何故か、彼は格好は上半身は裸で、下はブリーフ一丁だった。
「コンニチハ、アナタダレデスカ?」
片言でそう聞かれた。僕は自分が明日から働くスタッフの一人で、あいさつをしに来たと伝えた。
彼は喜んで自己紹介をしてくれた。
どうやら中国から来た大学の留学生らしい。僕は彼と固く握手をした。
わけのわからないシチュエーションに戸惑ったが、仕事をしている時は、友達と会う時間など全然なかった。
だから新潟に来てすぐに新しい友達がすぐにできたことに、喜びを感じていた。
僕はペンションでパンツ一丁の中国人留学生と友達になった。
彼の純白のブリーフは彼の輝く汗で、よりキラキラと輝いて見えた。
著者の前田 啓太郎さんに人生相談を申込む
著者の前田 啓太郎さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます