フィンランドどうでしょう① 首都ヘルシンキでカウチサーフィンしてみる (エストニアどうでしょう⑪)

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前編: エストニアどうでしょう⑩ エストニア国内はサウナだらけ。川に飛び込むエクストリームサウナ体験も!
後編: フィンランドどうでしょう② ヘルシンキのおばあさんとヘルシンキ人の過激な洗礼 (エストニアどうでしょう⑫)

タリンからフィンランドの首都・ヘルシンキへ

エストニア滞在中、向かいの国であり、僕の憧れの国でもあるフィンランドにもずっと行きたいと思いながら過ごしていた。

そう思っていると、ある日突然カウチサーフィンでフィンランドに泊まることが決まった。僕にとって初めてのカウチサーフィン体験だ。


カウチサーフィンとは

カウチサーフィンとは旅先で無料で地元の人に泊めてもらうサービスだ。ある場所に泊まりたい旅人と、旅人を泊めてあげても良いと思っている現地の人(ホスト)をマッチングするシステムだ。使い方は簡単。カウチサーフィンのアプリやウェブサイトから自分のプロフィールと自己紹介を入力して、泊まりたい場所と日時を指定する。そうするとその地域のホストが一覧表示されるので一人選んでリクエストを送る。あとはホストが承諾してくれれば晴れて無料で宿泊することができる。


行きたい場所で検索するとホスト一覧が出てくる。ありがたいことだ。


 また日時と場所を指定して「この期間にこのエリアで泊まりたいですよ」とパブリックトリップとして公開おけば、現地に住むホストの方からこちらを探しだして無料での宿泊を申し出てくれることもある。僕の初めてのカウチサーフィンは後者だった。ヘルシンキに住む70代のおばあさんが見ず知らずの僕を家に泊めることを承諾してくれたのだ。初めてのカウチサーフィン。初めてのフィンランド。しかも3泊4日も! 俄然期待が高まった。


日時と行きたい場所を予め決めて泊めてくれる人を募集する「パブリック・トリップ」


 一般的にタリンとヘルシンキ間はフェリーで往復する。フェリーは2つの都市を日常的に行き来する市民の足でもある。もちろん飛行機で渡ることもできるけど、フェリーの方が安いし旅情があって良 い。それにフェリーでタリンの港に降り立つと、赤い屋根の旧市街と近代的なビル群の両方が同時に目に飛び込んで来て、これがとても印象的だ。モダンなデザインのビル群は近年の著しい経済発展を感じさせ、一方で旧市街は中世から続く長い歴史を感じさせる。このコントラストがタリンは何百年にも及ぶ歴史がありながら、今もなお変化・成長し続けている街であることを来訪者にまざまざと実感させる。この光景は飛行機で到着すると見ることができない。なので初めてヘルシンキからタリンに来る際は是非飛行機ではなくフェリーに乗ってお越しいただきたい。

また、この光景を目にするには、エクロライン・バイキングライン・タリンシリアラインというメジャーな運行会社のフェリーに乗る必要がある。 これとは別のリンダラインという格安会社のフェリーがあるが、これに乗ると到着する港が違うので、前述の一番の感動ポイントである摩天楼と赤い屋根による対比を感じることが出来ない。


またメジャー3社のフェリーは、日常の足とは言えとても巨大で、中にスーパーやレストランまであったりと豪華客船気分が味わえるので、旅を盛り上げてくれるという意味でもお得だ。格安フェリーのリンダラインには「感動より節約」と旅行費用を極限まで抑えたい人のみ乗船するべきだ。といっても基本的な料金は10ユーロぐらいしか変わらなかったと思う。


上がヘルシンキで下がタリン。首都が湾を挟んで向かい合っているなんて本当に兄弟みたいだ。


エストニアとフィンランドは「離れ離れだった」兄弟

 フェリーが渡る二都市間の海の名前はフィンランド湾という。フィンランド湾を南北に挟んで向かい合った2つの首都の関係は兄弟みたいでとても面白い。元々エストニアとフィンランドは人種的にも文化的にも言語的にも非常に良く似た民族であると言われている。それが大きく変わったのがロシア革命の時。フィンランドはロシアから独立を果たしたが、エストニアはソ連に飲み込まれた。その間フィンランドが世界トップクラスの先進国に発展したのは知っての通り、しかしソビエトの支配下に置かれたエストニアは1991年の独立まで従属による苦難の歴史を歩むことになる。


 その後ソ連崩壊で独立したエストニアは市場経済への参加と欧州連合とユーロ圏への加盟を果たし、経済を急成長させ、社会も急激に近代化した。わずか二十数年の間に急成長したエストニアはようやく今フィンランドと足並みを揃えるところまで戻って来たのだと僕は感じた。



国民1人あたりGDPで見るとソ連崩壊後数年後の1995年には3倍近い開きがあるが、2014年では差は1.5倍以内に収まっている。


 何度も言うがフィンランドとエストニアは兄弟みたいだ。タリンとヘルシンキという両国の首都が海を挟んで間近にあることも興味深い。平日に給料の高いヘルシンキに働きに出て、休日はタリンに戻って家族と過ごすというエストニアのお父さんたちもたくさんいるようだ。想像すると面白い。エストニアも急成長したとはいえ、僕の感覚的には物価が2〜3倍ぐらい違うので、給料も2〜3倍ぐらい違うのだろう。僕がタリン住民なら迷わず平日ヘルシンキに働きに出るなと思った。そして3倍の給与をもらって物価の安いエストニアで左うちわで暮らすだろう。きっとそういう人が大勢いるのだろう。物価も所得も違えば国民の価値観も違うわけで、例えば服装のセンスも違っていたりする。そんな経済的に数十年分のギャップの空いた両国の人々が現在では互いに経済活動を通じて交流している光景は味わい深いものがある。


初カウチサーフィンへの意気込み

 そんなエストニアと兄弟のような姉妹のような国フィンランドに無料で泊めていただけることになった。ヘルシンキ在住の70代の女性が僕をタダで泊めてくれるというのだ。フィンランドは物価がとても高いと聞いていたので、事前にタリンで食料と水を買い込んでいた。少しは節約になるだろう。これで着いてから寝るまでの食料は安心だ。

 カウチサーフィンは基本的には食料は自給自足だ。中にはタダで泊めてくれるだけでなく食事までごちそうしてくれる恐ろしく親切なホストも居るが、最初からそれをこちら側が期待するのは筋では無いと思う。泊めてもらうのだから極力負担はかけないようにしたいし、失礼の無いようにしたい。

 礼儀として日本から持ってきた抹茶キットカットをプレゼントとしてリュックに入れた。住んでいた場所からフェリー乗り場までのバスの乗り継ぎがイマイチ分からなかったので、スマホでUber(アプリで呼べるタクシー)を呼んでタリンの乗船場まで送ってもらった。行き先は同じEUで同じシェンゲン圏内だけどチケットを買う時にパスポートの提示を要求された。たぶん僕のような見た目完全に外国人の人だけじゃなくて全ての人がIDの提示が必要なのだと思う。同じEU域内だけど結構しっかり管理してるなと思った。


外国の方へのおみやげの最終兵器 キットカット抹茶味 これを日本から持って行っていて本当に役に立った。(タリン中心部にあるショッピングモール「Solaris(ソラリス)」でも売ってました。割高でしたが。)


フェリーはメジャーな運行会社で一番安かったエクロラインだった。しかしとてつもなく巨大なフェリーだ。「日常の足」「ちょっとタリンまで観光に」「ちょっくらヘルシンキまで働きに」というライトな感じはあまりしない。日本の電車で言うと特急並の高級感だ。間違っても各駅停車や区間快速などではない。

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