フィンランドどうでしょう④  北欧のデザイン・戦争・観覧車・世界遺産 (エストニアどうでしょう⑭)

前話: フィンランドどうでしょう③ ヘルシンキで北欧的ミニマリズムを実体験(エストニアどうでしょう⑬)
次話: フィンランドどうでしょう⑤ ヘルシンキで散髪したらヘルシンキ人に間違われた話(エストニアどうでしょう⑮)

ヘルシンキ滞在3日目。ヘルシンキカードの元を取るべく興味のある所は手当たり次第に周ってみた。朝起きてすぐに列車に飛び乗り中心街へ。

まずは一番行きたかった場所。ヘルシンキデザイン美術館に行く


ヘルシンキデザイン美術館

ヘルシンキカードで無料で入れるデザイン美術館 同じく無料で入れる建築美術館の隣にあって移動が楽だ。


中に入ってみると「このデザインがこんなに早い時代にあったの?」と驚いた。

このクールな椅子は1930年代にデザインされたもの!

このガラスの器は1950年代のものだ。こんなに洗練されたデザインが戦後すぐにあったなんて驚き。


展示は年代順に並んでいて、それぞれに説明文が書かれている。

読んでみてわかったのは、デザインはハリボテではなく、全てその時代時代の社会情勢と密接に関わっているということだった

例えば戦後の好景気な時代のデザインや、学生運動の盛んだった反体制的な空気の時期のデザイン、大量生産が容易になった時代のデザイン、グローバル化の国際的な市場を意識したデザインなど、その時代時代の社会からの要請によってデザインも変化していっていたのだ。


大量生産向けのデザイン。IKEA的な物の前身?


こんなに先進のデザインを世界に先駆けて発信してきたフィンランドだけど、北欧デザインで有名なIKEAもH&Mもお隣のスウェーデン資本の企業だ。スウェーデン人はフィンランド人よりも気性が活発で商売でもドンドン世界に打って出て行く雰囲気があるらしい。フィンランドはエストニアと一緒でおっとりしている人が多いし、エストニアと一緒にスウェーデンに支配されていた時代があったり、歴史的にも民族性の違いが見られる。

僕は「フィンランド頑張れ!」と心の中で思っているけど、フィンランドの誇りでありフィンランドを代表する企業だったノキアがアップルとグーグルのスマートフォンに押されてマイクロソフトに買収されてしまったり、その後出てきたヘルシンキにあるスーパーセルという世界的スマホゲームメーカーも日本のソフトバンクに買収されたりその後さらに中国に売られたりするなどしていてなんともパッとしない感じだ。経済も日本と同じで「失われた20年」の真っ最中らしい。

週末に駅に集まってビールを飲みたくなる気持ちもよく分かる。

あと不景気だからかホームレスの人も何人か見かけけど、その人達も結構アグレッシブで、紙コップを激しく振ってコインの音をジャンジャン鳴らしてアピールしていた。服装も小奇麗だった。少なくとも物乞いをすることが恥ずかしいとは思っていなさそうだ。とても堂々としているのが印象的だった。

ちなみにこのあと80年代から90年代の展示に入ると、電話機やラジカセなどの電化製品のデザインを見ることが出来たけど、日本で見たラジカセのようなものばかりだった。もしかすると日本の産業デザインの黄金期はこの時代だったのかも。ウォークマンが世界を驚かせていた時代だ。iPhoneやIKEAの登場以降、デザインの主役は欧米に移ったのかなと思う。専門的な知識はないけど。多分そう思う。


フィンランド軍事博物館

次に行ったのは戦争の歴史が学べるフィンランド軍事博物館だ。


展示によると第2次世界大戦でソ連とナチスドイツの板挟みになった小国フィンランドは、苦渋の決断の末に枢軸国側に付きソ連と戦ったが、敗戦し多額の賠償金を支払うことになった。エストニアと同じで大国に翻弄される小国の悲哀が感じ取れた。


枢軸国としてナチスと一緒にソ連を攻めるフィンランドの図

この他にも結構残酷な写真もあったりして、やっぱり戦争は起こしてはいけないと感じた。

こうやって小国フィンランドやエストニアの悲しい歴史に触れていくと、大国とされている日本のことを考えてしまうことになる。大戦中はとてもショッキングな出来事が多かったけど、70年経って、そろそろ「具体的にどうすればこれから戦争を起こさずに済むのか」ということも考えないといけないんじゃないかなあと感じた。日本では「何が何でも戦争や軍隊に反対する人」と「国の誇りとしてナショナリスティックに軍隊の必要性を説く人」の両極端な人しか目立つところに出てこないので、そもそも話し合いになっていないと思っていた。幅のとても広い川の両岸に立って当たらない雪合戦をしているような感じだ。両陣営とも自分が正義の味方で相手を悪の手先だと思っている。

でもそんな時には他国を参考にするのが良いと思っている。個人的に一番のモデルは同じ大国で元枢軸国のドイツだ。日本よりも徹底した平和教育を行なっているのと同時に、終戦から数年後には日本でいう憲法に近い基本法を改正してNATOに参加して集団的自衛権を発動していたりする。


ドイツはあくまでも一例なのだけど

「教育はこう!」でも「国防はこう!」

と主張がはっきりしている。議論も盛んだ。

せめて他国がどうやっているのかを見ないと、「戦争はあかん!」派VS「もっと強い軍隊が要る!」派の水掛け論で終わってしまっていると思う。実は議論しているようで何も話し合っていないという。

もちろん国防に限らず他のことについても同じことが言えると思うけど・・・まあこの類の話は色々と見解があると思うのでこの辺で・・・


観覧車「スカイホイール」に乗る

軍事博物館から南に300メートルほど歩くと「スカイホイール」という観覧車が見えてくる。観覧車と言っても日本の遊園地からすると小さめだ。小さいのですぐにゴンドラが一周してしまう。なので何周もする。計6周ぐらい回ったと思う。でも平坦なヘルシンキの景色を堪能するには十分な高さだ。一人で乗っても全然OK。僕の前に居たおじさんも一人で乗っていた。



ヘルシンキの街が一望できる



右に見えるのは「生神女就寝大聖堂」。名前がすごい。地下には大戦時の防空壕があり、現在はそこになぜかデータセンターのサーバーが設置され、さらにそのサーバーの発する熱を利用して近隣の住宅に温水を送っているらしい。もう色々と大聖堂の範疇を超えて地域の役に立ちまくっていてすごい。もちろん大聖堂なので観光や本来のお祈りをすることも出来る。


HAM(Helsinki Art Museum)

映画館の2階にあるHAMは大盛況だった。中国の社会派アーティスト「艾未未(アイ・ウェイウェイ)」のエキシビジョンが開催されていたからだ。天安門に中指を突き立てた写真が物議を醸したり、中国の公安当局からマークされたりしている。ここもヘルシンキカードがあれば無料だ。


HAMの入り口

荷物を預けるクロークの列。盛況だ。

アイ・ウェイウェイの作品。ヘルシンキの色んな権威にも中指を立てていく。左はヘルシンキ大聖堂 真ん中は国会議事堂 右はなぜかバイキングラインのフェリー。フェリー会社のバイキングラインも何らかの権威なのだろうか?

木のオブジェ

木でできた大量のオブジェ


会場にはアジア人は僕しかおらず、たまにお客さんがチラチラと僕の方を見てきたので、戯れに「私はアイ・ウェイウェイの関係者です」という顔をして歩いて周ってみた。


その他4つぐらいの美術館を周った。殆どが無料で本当に得をしたと思う。


世界遺産のスオメンリンナ要塞

ヘルシンキカードは美術館好きの僕には恐ろしくお得なカードだが、この他にも世界遺産のスオメンリンナ要塞にもいけてしまう。使い方次第ではとにかくお得なカードだと思う。

スオメンリンナ要塞に行くにはこのフェリーに乗る。


こんな感じで起伏があるので潜伏して敵を迎え撃つのに向いている。


大砲


レンガのトンネル


ともかくヘルシンキカードでこんなにたくさんお得に周れてしまった。フィンランドのデザインや戦争の歴史も分かったし大満足で僕はおばあさんの家に帰ったのだった。


ただいまー!
おばあさん
おかえりー!どうだった?何処を周ったの?
美術館を5つ!
おばあさん
すごい!あなたには美術の学位をあげるわ!




猫も僕の帰りを待ってくれていた!


次回 ヘルシンキで散髪してみた に続く。



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続きのストーリーはこちら!

フィンランドどうでしょう⑤ ヘルシンキで散髪したらヘルシンキ人に間違われた話(エストニアどうでしょう⑮)

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