フィンランドどうでしょう③ ヘルシンキで北欧的ミニマリズムを実体験(エストニアどうでしょう⑬)

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ヘルシンキ繁華街へ

初めてのカウチサーフィン、フィンランド初めての朝。

お婆さん
グッモーニン!カトー!

僕は朝ごはんにチーズやハムとパン。それにお茶を頂いた。チーズはとてもシンプルな味で淡白だった。お茶はお婆さんの好みだそうだ。お婆さんはお気に入りのお茶を探すのに苦労していると言っていた。実はフィンランドは世界でもトップクラスの「コーヒー好き」の国民なのだ。一人あたりの消費量は日本のおよそ3倍にあたる。だからなのか、街に行けばコーヒー豆は山のように売っているが、お茶のバリエーションは殆どないらしい。フィンランドではお茶に興味のある人が少数派なのだ。


淡白なチーズにハム。そしてパン。お茶はグリーンティーだ。(写真は夜に撮ったもの。)


朝食を終えた僕とお婆さんは二人で相談し、一緒にヘルシンキの市街地に繰り出すことにした。前日の会話でお互いに現代アートに興味が有ることを知ったからだ。僕をカウチサーフィンに受け入れてくれた理由の一つが僕が「様々な文化に対して好奇心旺盛」な人間だと思ったからだと言っていた。確かに僕は自分の興味のあることをカウチサーフィンのプロフィールにこれでもかと盛り込んでいた。それが功を奏したのだ。

電車に乗ってヘルシンキの中心街へ向かった。切符は中を歩いている車掌さんから買える。交通機関は同じヨーロッパでも国ごとに本当にシステムが違う。

車内ではお婆さんは、犬を連れた他の乗客と立ち話をしていた。電車内にペットが居たり、自転車が乗ってきたりと車内はバラエティにあふれている。





乗客どうしおしゃべりに花が咲く雰囲気の中、列車はあっという間にヘルシンキ中央駅にはすぐに着いた。


ツーリストオフィスで「ヘルシンキカード」を買った。これがあれば、数日間交通機関とほとんどの美術館が無料になる。美術館好きにはものすごくお得なカードなのだ。ツーリストオフィスを出てすぐにヘルシンキ現代美術館「キアスマ」がある。頑張れば徒歩でいける範囲に行きたい場所が集まっている。タリンと一緒でヘルシンキも街がコンパクトなのだ。


ヘルシンキ中央駅のプラットフォーム



ヘルシンキ中央駅の駅舎内



ヘルシンキの国立現代美術館「キアスマ」


キアスマに入る。僕はヘルシンキカードを買ったので無料。お婆さんもジャーナリスト協会の会員証を持っていたので無料だった。

すごいなジャーナリストって・・・

驚きもそこそこに僕とはさっそく最先端の現代美術を堪能しに展示室に入っていった。

作品を見た僕は思った。

おお!


エストニアの作家の作品。テカテカしていてちょっと3DCGっぽい


鏡とタイポグラフィの現代的な雰囲気の部屋

さすが現代美術の本場フィンランド。こういうの近未来っぽくて好きです。

他にも写真には撮っていないが、中々かっこいい作品が多かった。さすが北欧。僕は思ったことや感想をお婆さんと言い合いながらキアスマの全ての展示室を周った。

お婆さん
楽しかった?
とても楽しかったです。エキサイティング!

おばあさんはこの後友達と会う用事があるのでここで別れることになった。その後僕は一人でヘルシンキの街を回った。


北欧的ミニマリズム その1 ベンチ

現代アートを堪能した僕は、ヘルシンキの街に面白いものは無いか探すことにした。すると早速発見だ。

おっ!ベンチだ。


ヘルシンキのベンチ。何の変哲もないように見えてこれが凄い。

ベンチがあった。一人用のこじんまりしたベンチだ。一人用としてもとても小さく見えた。北欧生まれのミニマルデザインかもしれない。おしゃれといえばたしかにおしゃれだ。

とりあえずこのベンチに座ってみる。すると僕は驚いた。

おおっ!!これは!

僕が驚いたのはその見た目からは想像も出来ない座った時のバツグンのフィット感にあった。

お尻に負担がかからなすぎる。包み込んでくれるというか、体重を分散してお尻の一部だけに負荷がかからないようになっている。人間工学的に考えぬかれたベンチだったのだ。

これはすごい・・・

道端にあるベンチでこの素晴らしさである。先進国過ぎるだろヘルシンキ・・・・。


北欧的ミニマリズム その2 カンピ礼拝堂

さらに僕は思うがままに歩いて行った。次に見つけたのは、街中に突如現れたこれまたコンテンポラリーな感じの茶色く丸い物体だった。


なんだあれは・・・

ものすごい存在感を放っている。これは何なのか絶対に調べないといけない。

僕は裏に周りこんだ。入口がある。これは建物だったのだ。

何の建物だろう?

女性
ここは礼拝堂です。

これ教会なの!?教会まで現代風なヘルシンキ。

女性
中に入ったら無言でいてくださいね。

なるほど。中に入ったら喋ってはいけない教会か。面白いコンセプトだ。

僕は中に入った。


内装も外装と統一されたデザインだ。防音がかなり効いていて中心街なのに静かだ。

みんな無言である。席は40席ぐらいあったと思う。フラッシュは禁止。

 入ってしばらく無言で佇んでみて思った。この教会はとても良い。何が良いのかというと「都会の喧騒のド真ん中なのに突然圧倒的に無音に近い空間」に身を委ねられることが良い。ミニマリズムの極地だ。ここには寂静という言葉がぴったり合いそうだ。寂静(じゃくじょう)という言葉は「静か」の類義語で「ひっそりとして静か」という仏教由来の言葉だ。この教会は教会なのに、あまり宗教色を感じない。日本人の僕としては、おしゃべりを謹んで静かに佇むということで仏教的にも感じる。無言で座禅を組んでいるようだ。僕はほぼ無宗教な人間だけど、この場所はとても好きだと思った。現代社会は物も情報も増えすぎている。通知で数分ごとに新しい情報が雪崩れ込んでくる。僕自身スマホが大好きだけど、現代は知らず知らずのうちに見聞きしたり発信したりすることが常態化していると思う。「〜をしない」という時間が無くなっている。この場所は、日本風に言えば断捨離、英語で言えばミニマリズムの精神で、都会のド真ん中でもその都会の「喧騒」と「情報過多」を断ち切って「寂静」を味わうことが出来る場所なのだ。

北欧的ミニマリズム その3

無言の礼拝堂を出て頭がすっきり浄化された僕は、また思うがままにストリートを歩き始めた。すると大きいストリートに出た時に、どこからか心地よい音が聞こえてきた。このメロディは何だろうか。音のする方へ近づいてみる。

その音の正体はシロフォン(木琴)だった。ストリートミュージシャンのオジサンがシロフォンを奏でているのだ。シロフォンの優しい音色がヘルシンキの目抜き通りを包み込む。

鳴っている音が優しくて軽快だと空気まで暖かくてふわふわしてくるように感じる。これまで様々な楽器を演奏するストリートミュージシャンを見たことがあったけど、シロフォンは見たことがなかった。

そしてこの文章を書いているまさに今、なんとYoutubeでそのストリートミュージシャンの動画を発見した。彼の名前はFedor Grigorevと言い、地元ではかなり有名人らしい。そして演奏していたのは木琴ではなくなんと空き瓶だった(ミニマル!)。是非彼の演奏を聞いてみてほしい。そしてこの優しい音色がストリート全体を包み込んでいるその空気を想像してみて欲しい。

Youtube:ヘルシンキのストリートミュージシャンの演奏


先進国や都会に住んでいると、刺激や情報の多さにうんざりしてしまうこともある。さらにその情報の通知もテクノロジーが進化するに連れてどんどん増えていくばかりだ。増えてくれることはあっても減ってくれることはない。

足し算はもう疲れた、我々には引き算が必要だ。

ヘルシンキの誰かが多分こんなことを思ったのだと思う。多分。

もしかしたらヘルシンキの人はみんなそう思ってるのかもしれない。物や情報が多けりゃ多いほど幸福感が比例して増していくとは限らない。それを常識として分かっているのかもしれない。

「たまにはスマホの電源を切って過ごしてみようかな。」

そんなことを思いながらヘルシンキの街を歩き続けた。


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フィンランドどうでしょう④  北欧のデザイン・戦争・観覧車・世界遺産 (エストニアどうでしょう⑭)

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