母がアルコール依存症だと気づいてから10日間地獄を見た話。9日目。
宴会
宴会の準備が終わり、母は久しぶりに身だしなみを整え、
軽くお化粧をし、小綺麗な格好をしていた。
その姿を見てほっとした。
つい数日前からは想像がつかない、いつもの母に戻っていたから。
近所に住む母の幼馴染が、宴会に顔を出しに来ていた。
私はその人に、宴会の間母がお酒を飲まないように見ていて欲しいと頼んだ。
母はもうお酒を飲んではいけないんだ、と説明した。
今日飲むとまた元の木阿弥。
せっかく回復してきたのに今までの苦労が水の泡。
数回説明したが、母の幼馴染はあまり母の重篤度がわかっていないようだった。
宴会が終わって
宴会の間、私と父は部屋中のお酒を隠した。
宴会で飲んできたらまた飲みが始まってしまうと思ったからだ。
宴会が終わり、幼馴染と一緒に部屋に帰ってきた母。
幼馴染は、さっきの宴会では飲まなかったよ。
と私の必死のお願いを聞いていてくれていた。
とてもありがたかった。
そんな矢先
隠していたのにどこからかビールを見つけ出して
母はビールをコップに注ぎだした。
これはいかん、とビールを取り上げる。
抵抗する母。
母
どうしてそんな意地悪するの?
飲んだって、いいじゃない。
飲んだって、いいじゃない。
母
これが明日への活力になるじゃない。
母
ほらっ。お父さんも飲みなさいっ。
大声で叫んでいた。
駄々をこねて暴れ出した。
えーんと泣いていた。
しばらく黙って見ていると、
母は一口ビールを口にした。
すぐにぺっと吐き出した。
母
…なんか、まずい。美味しくない。
よく分からなかったけど、母は飲めないようになっていた。
そういえばお酒が嫌になる薬も出しますよとかなんとか
医師が言ってた気がする。
お酒、飲まないでこれから過ごせるかもしれない。
希望が見えた気がした。
このやりとりを見て母の幼馴染は
ことの重篤さをやっと理解してくれたようだった。
今後も、もし母が飲みそうになるのを見かけたら、
注意して欲しいいとお願いした。
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