心友 【その六・19歳の秋田旅】

前編: 心友 【その五・勧誘】
後編: 心友 【その七・成人式の後】

手紙によると、クロイワの元へトクシマと自分が訪れたという記載があった。


秋田に遊びに行ったことは覚えているのだが、それが一体いつのことだったのかはハッキリとした記憶がなかったことは先に述べた。そこでトクシマに尋ねてみたところ、あの時は二人で羽田から向かったのだと言う。


自分は大学生になったばかりというと一浪しているので19歳でよいはずだ。そして羽田から向かったということは、トクシマもまだ居を東北には移していない。


記憶がうっすらと蘇ってくる。


 (初めて飛行機に乗ってビビっていたのではなかろうか?)


 (浪人時代の怠惰な生活で人生MAXの体重になっていたのでは?)


あまりよい思い出は浮かんでこない…



普段めったに開けることのない書棚の奥を探ってみる。そこにはいくつかのアルバムが保管されていた。探していると思しきアルバムが見つかる。当時はデジタルカメラなどまだ存在しないので全て焼きまわしの写真だ。幸いなことに写真の右下に撮影日が印字されていた。


8/9から8/12の4日間。


クロイワの従兄弟も遊びに来ていたらしく、花火をしている写真がたくさんある。奴の家のすぐ裏手は日本海なので砂浜での花火はやりたい放題だ。


それにしてもさすがに19歳と言ってよいのだろう。なぜかいきがっている写真が多い。クロイワはタバコなんぞをくわえている。


男鹿半島、田沢湖などいわゆる秋田の「名所」へドライブ旅をしていたらしい。三人で一緒に写っている写真の中にはなぜか女の子が混じっている写真もある。


おそらくドライブがてら立ち寄ったお店の看板娘さんだろう。秋田美人になりそうな要素があるお嬢さんだった。そのお嬢さんも今はスッカリオバサマになっている頃だろう。人のことは言えないが。


さらにアルバムをめくるとクロイワが高校時代に着用していた野球のユニフォームに袖を通しているトクシマと自分の姿があった。


(そうか…高校時代に着させてもらったと思っていたけれど、実際は秋田に行った時だったのか…)


記憶なんて本当に曖昧なものだと痛感しつつも、これでまた記憶が一つ整理された。ただ、この時三人でどんな話をしたのだろうか?肝心なところは簡単に思い出せないものだ。


※ただ、後日他のアルバムを見返してみると、高校時代にそのユニフォームに袖を通させてもらっている自分の写真が出てきた。つまりユニフォームを二度着用していたというのが真相だ。記憶なんていい加減なのだ、本当に。



次に皆が再会しているとしたら、それはおそらく成人式だ。


秋田で成人式に出たところで誰も知り合いはいないに等しい。それならば例え住民票を移していたとしても、元々住んでいた町の役所にでも電話を一本入れてそちらで出席することを選ぶはずだ。


再び書棚に目をやり、秋田の続きのアルバムを探し始めた。


※登場人物の名前は一部仮名とさせていただきましたが、話はほぼノンフィクションです。

続きのストーリーはこちら!

心友 【その七・成人式の後】

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