引きこもりがニューヨーク留学をした結果大企業に就職した話~vol.2 クソヤローのはじめての挫折~

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高校受験

井の中の蛙だった僕も、そんな勘違いを抱き続けながら、高校受験の時を迎えた。


誘いのあった野球名門校からの特待生の話はすべて辞退した。


プロ野球選手になれる器ではないことをなんとなく自分でも悟っていたこともあるが、勉強、遊び、恋愛、自由、限られた時間のなかで経験できる人並みの高校生活が送りたかった。


“プロ野球選手になるため”、“甲子園で優勝するため”に全てを犠牲にする覚悟など毛頭なかったし、ケガをして使い物にならなくなった時、結局レギュラーになれなかった時には大学の推薦ももらえない、その3年間は僕にとってリスクの高い選択だった。

今にして思えば、

限られた期間に一つのことをとことん追い込んでやること、高みを目指すことは本当に尊いことだと思う。

たとえレギュラーになれなかったとしても、大学の推薦なんかもらえなかったとしても、10代のうちの数年間なんていくらでも取りかえしがきくのだから。


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「将来の可能性をせばめない」

「俺はなんだってなれる」



そんな想いで僕が進学を決めた高校は、家から1時間ほど離れた県立の進学校だった。


県内有数の進学校でありながら学校創立からまだ歴史が浅く、特色ある学校にする為にスポーツには特に力を入れていた。中三の夏、私学の強豪校としのぎを削り、甲子園予選ベスト4まですすんだ様子を見て進学を決めた。


同じクラブチームからその高校に進んだ先輩の話を聞くと、早稲田大学と法政大学の指定校推薦があり、毎年野球部からも推薦を受け入学することがあるらしいということも背中を押した。



幼い頃から野球をやってきたこともあり“東京六大学”とりわけ“早稲田大学”という言葉は響いた。

それも野球推薦での進学ではなく、指定校推薦なら仮に途中で燃え尽きたとしても大学で野球を続ける必要はない。


東京での華やかな大学生活名門大学卒の看板は、その後の人生においても大きくプラスに働く予感がした。



「野球を踏み台にして、名門大学に行き、エリートになる」




そんなしたたかで打算的な思いのもと迎えた高校受験。


校区制度というものがあり難易度も高かったが、幸い内申点も高く、受け入れ先の野球部の顧問が動いてくれたこともあり試験勉強もせずあっさり入学できた。




高校入学

入学を契機に、少しずつ、歯車が狂いはじめる。


入学後、はじめて受けた校内試験、360人中320位



中三の9月の段階で、推薦での合格を内密に頂いていた為、その後一切の勉強を放棄していたのだから当然の結果ではあったが、これには相当参った。


「あれ、おれ、天才じゃなかったんだ」



今まで井の中の蛙だったことを初めて実感した。



「県内にもまだまだ賢い奴はいくらでもいる。ましてや九州、西日本、全国にはもっと」

「現段階でこの位置だということは、勉強したって先は知れてる」

「なんとか野球で結果を出して指定校推薦をもらわないと」




気持ちが焦った。




野球に関しては、最初は順調だった。


中学時代の実績を買われ入学後すぐにメンバー入りし、3か月後には三年生の引退に伴ってスタメンレギュラーとなった。同級生はもとより、1つ上の先輩にも負ける気はしなかった。




しかし、挫折はすぐにやってきた。




高校野球になってそれまでと変わったこと。


それは勝利至上主義の中で、小さなミスの一つ一つに監督からの激しい叱責肉体的な指導があったこと。



それまでのびのびした環境のなかで、常に褒められ、自分より劣った仲間の中で精神的優位に立ちながらプレーしていた自分には、ミスのたびに殴られることが受け入れられず、萎縮しながらプレーせざるをえなくなった。


高校一年の10月。

校内の球技大会、バスケットボールの試合中に捻挫をした。

大事な秋季大会の1週間前だった。



スタメンから外れ、顧問からは叱責され、殴られた。



「なんでこんなに怒られなければいけないんだ」

「けがしたくてしたわけじゃない」

「たかが部活だろ」



段々と、野球から気持ちが離れていった。




それでも、途中で投げ出すわけにはいかなかった。

推薦のこともあったが、この自分が、公立レベルのチームを途中で投げ出すことに納得ができなかったから。



しかし、どこか宙ぶらりんな想いのなかで続けるうちにケガが重なった。



肘、肩、腰、膝、正常な部位がないんじゃないかというぐらいに痛め、当然プレーも精彩を欠いた。




高二の夏、最終学年としての新チーム発足。


僕が立つはずだった場所には、入学当初は眼中にもなかった同級生が立っていた。







勉強もダメ、野球もダメ。



もう高校を辞めようと思った。




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