占いを実行して、占いの意味を知る 【行動】
はいはい。よくわかりましたよ。
前回先走って伊勢佐木モール店の話を受けちゃって大変だったものね。
さて。
やるんだな。
ついに。
自分で。
自分のやりたいことを。
もし、お客さんが来なかったとしても、すべて自分の責任。人のせいにはできない。
それでも、不安を感じるよりも、期待で胸がいっぱいだった。
こうして私は、縁も所縁もなかった横浜元町で開業することになった。
でもまだ元町で物件に出会えるなんて、この時はまったく想像もしていなかった。
年始に実家に帰って、こっそり母に「まだいつどこでとは言えないが、近々自分で開業することにしました」と伝えると、おっ、何とかって占いの効果が出てきた、面白いわね、ママもそういうのやってみたいな、と言って、また笑っていた。
1月は、同業の仲間のお店に足を運んでコンセプトや料金・メニューをみて、施術を受けたり、整形外科・接骨院・カイロプラクティックらと整体院の違いを理解するため、腰が痛くなる状況を作ってから通院し、どこでどんな治療をするのか体験してみた。資金繰りの勉強もして、融資についても学んだ。一丁前に事業計画も書いてみた。従業員を雇った場合、このくらい売り上げられればこのくらいの支払いになって、家賃は最大これくらいで、と電卓をたたく。お金をかけるもの、省くもの、ネット購入可能なもの、最低限の家具、欲しいものではなく必要なものから先に、洗濯機や掃除機は自宅にあるものでまずは補うこともできる、と予算繰りをする。そして自分はなぜこの仕事をするのか、どんな人に来てもらって、自分は何ができるのか、とことん考えてみた。スタッフは入れず、一人でやってみよう、1対1で相手の不調をちゃんと聞く場を作ろう。どこにも提出することはなかったけど、とても熱い事業計画書ができあがった。融資を受ける必要はない、という結論も出た。お店の場所がまだ決められないので、住所を後回しにして、HPや看板・チラシを自分の手で作製した。色々なところで働いた経験が爆発したような準備期間だった。これまでの経験が何一つ無駄ではなかったと、思い知った。
指定期間が訪れると、よーいどん、という勢いでダッシュをかけた。
指定された方位は2つ。北西と東南は対角線上にあり、両方を一日で回るのは難しかった。
当初、指定された範囲内ならどんな物件でもいいんでしょ?と紹介された物件の間取り図を次々にFAXでドラえもんに送っていると、
もっと真剣にやりなさいよ
足の豆が潰れるくらい歩き回ってください
死ぬ気でやってくださいよ
短い期間内に決めないといけないんですよ
わかってほしいですよ
もっと必死でやってくださいよ
あなたの命を輝かせる場所を、あなたが決めなきゃ、だめなんですよ
私が決めるんじゃないんですよ
と喝をいれられた。
指定された場所は中華街から開港記念館、横浜ワールドポーターズ、桜木町と抜け
もう一つの範囲は外人墓地から先、本牧方面へ伸びていた。
元町内は私の自宅から中華街までのわずかな範囲だった。
その小さな二等辺三角形では、もう様々なお店が営業している。
1年この町に住んで、元町について学んでいた私は、
そりゃ元町で開業できればいいけどさー
高いんだし
狭いんだし
指定範囲にちょこっと被っているだけだし
そんなに都合のいい空きがあるわけないじゃないか
今のお店に通ってきてくれていたお客さんに来てもらうには、
元町でできれば一番いいけどさー
無理に決まってるじゃない
空いてないし予算もないっちゅうの
とぶつぶつ言いながら足を棒にして歩いていた。あまり通らない河沿いの道を歩いて自宅に戻ろうとしていたところだった。
「空き部屋あります」
という看板が目に入った。
看板は6階建ての建物の階段の壁に張られていて、階段の隣では和菓子屋が営まれていた。
え?
鳥肌が立つ。
これまで路面店ばかりを見てきた。
お店は1階、が常識だと思っていた。
ここは元町商店街。
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