占いを実行して、占いの意味を知る 【行動】
周りを見渡すと、ビルの上の階でも商売をしている人がいた。
地下鉄の駅からは徒歩5分とかからない。
目の前は河。
雑多なところではない。
私が好む、静かだけれども利便性の高い場所だった。
え?
急いで自宅に戻り、パソコンを立ち上げ、地図を確認する。
自宅からの距離、直線で136m。
北西の範囲内。
近い。洗濯物も持って帰れる。
指定された範囲内のわずか130mの河沿いの中にその物件は入っていた。
住所は元町1丁目。閉店したお店があった場所からは歩いて来れる距離。
手が震える。
いやいやいやいや。でも高いかもしれないし。
急いで看板の前に戻る。自宅から徒歩5分もかからない。
え?
え?
ここ?
ここなの?
そこから見える不動産屋に飛び込んで、もちろんその不動産屋も指定範囲内で、
あの看板の物件、見せてほしい、と伝えると、うちの物件じゃないんで、担当してる不動産屋紹介しますよ、看板の前で待ち合わせてください、と言われた。
担当の不動産屋はすぐに取り合ってくれ、建物の3階の部屋を案内してくれる。
1階から2階までは外階段だが2階からはエレベーターが付いていた。
これなら、膝や腰が痛い人でもなんとか上がって来れる。
もし上がれなければ、出張に出たっていいんだ。そうだ、私、出張もやって来たんだ。
鼓動が激しくなる。
今は近所の宝石屋さんの倉庫になっているんですけど、元は住居用に作られているんですよ。テナント扱いじゃない物件ですけど、整体業ですよね?おひとりでするの?
大家さんは1階の和菓子屋さんで、上の階に住んでいるので、とても安心ですよ。
テナント扱いであれば契約時に保証金を用意しないといけない。相場では家賃の10倍だ。住居用であれば、通常の賃貸契約、つまり敷金・礼金・前家賃で済む。
大家さんが1階にいてくれるのも、安心だった。
何かあったときには、すぐ相談ができる。1人で営業するということは、防犯の備えも必要になる。1フロアに3件の部屋が入る建物は、横並びではなく、L字型をしていた。住居用の部屋とは印象が違った。
外階段からフロアに入るのにガラスの扉があり、廊下が明るい。通された部屋は、角部屋で、四角から突き出た煙突のような形で小さなベランダがあった。洗濯物も外に干せる。ベランダへの出入りの扉を含めて窓は3面。換気も十分にできる。隣の大きな宝石屋の建物の陰になり日差しは入らないが、お客さんからすれば施術ベッドに顔をうずめているので、日差しはいらないように思えた。小さな部屋なのに、イメージが浮かんでくる。ここに更衣室を作って、シンクのあるところはカーテンを引いて控室にして、完全貸し切りの予約制にすれば、待合室はいらない、・・・。
家賃も管理費を負けてくれてくれることになった。
払える。予算内だ。
鳥肌が全開になる。
私、ここでやる。ここに決めた。
無理に決まってる、と思っていた。でも無理に決まって、いなかった。
勝手な想像で、勝手な常識で無理だと思い込んでいた。
曖昧な常識で、すべてを考えていた。
そうではなかった。そうではなかった。
急いで間取り図をドラえもんにFAXすると、
このベランダの出っ張りが吉相なんですよ。
これが人を呼ぶんですよ。
あなたみたいな職種は、1階で営業しなくったっていいんです。
上にあがったって十分やれます。
あなたが見つけた場所です。
あなたが見つけなきゃ、だめなんです。
よし、いいでしょう。
という電話が入った。
こうして2008年2月23日、縁も所縁もなかった横浜元町で、借金もなく、指定期間内の指定範囲内に、私は開業当日を迎えた。
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