世界47カ国女子バックパッカーができるまで(15)

前編: 世界47カ国女子バックパッカーができるまで(14)
後編: 世界47カ国女子バックパッカーができるまで(16)

友達、の本当の意味を知った~回想1~

7月のその日は、午後からひっきりなしに小雨が降っていた。


私はいつものように、セントオルバンスのトレーニングセンターで午前中のレッスンを受けてから、ひとりで坂道を下っていた。家に帰るために電車に乗らなくてはならないのだが、セントオルバンスにある2つの電車駅のうち、私が使う電車駅はStAlbans Abbeyという名前で坂道を下りきった、少し中心から遠い場所にある。

小雨が少し強まってきて、傘を持っていなかった私は着ていた黒のカーディガンを頭からかぶりながら坂道を滑らないよう、すこし気をつけながら走り降りてゆく。

ところが

StAlbans Abbey駅の前まで来ると、なにやらそこには大きな人だかりができていた。そこにいるのは地元の人々のようで、私のような外国人は見当たらない。

ケイシー
何があったのだろう・・・

不思議に思って近くの英国風おじいちゃんに聞くと、おじいちゃんは早口の英語で何やらをまくしたてて私の二の腕をバシバシとたたいた。

ーまずい、このまま何が何だかわからなくなったら私はお家に帰れるのだろうか。

自分の中の生存本能がムクリと頭を持ち上げた。私は持てる語彙のすべてを尽くして遠くにいた車掌風の制服を着た男性のところに近づき聞いた。

ケイシー
いったい、何があったんです?
車掌
□○▼×///・・・・

やはり彼も早口だったけれど、なんとなく皆の様子から理解ができたのは

・電車が止まっていること

・再開のめどはたっていないこと

・バスなど別の交通機関をつかってご帰宅ください

ということだった。

さて、困ったことになった。私は自分の小さな財布の中を覗き込んだ。そこには運悪く、帰りの切符代3ポンドしか入っていなかったのだ。その日はキャッシュカードでお金を引き出そうと思いながら家の自分の部屋に忘れてきていた。さらに間の悪いことに、私は現地で買ったプリペイド電話を持っていたのだがその電池ももう少しで切れそうになっていた。

知らない国で、孤独を感じるにはそれだけでも充分だった。そのうえ、頭上にはさらに暗雲が立ち込めて、午後4時のイングランドを暗く覆いつくしていた。

電車で15分の家までは、自分で歩いて帰ることはできない。その途中には危ない橋や大きなススキ平原がどこまでも続くのだ。どこかで迷ってしまったらそれこそひとり、だれにも発見されることなく問題になってしまうに違いない。


暗い空を見上げると雨足が強くなってきたので、カーディガンを深くかぶりなおした。

私はとりあえず、降りしきる小雨の中をもう一度トレーニングセンターに向かって歩き出した。


そこまで行けば、誰かが助けてくれるかもしれない。


でも、その一筋の希望はほとんど報われないことは知っていた。ティーチャーがクラスを終わってからそのままセンターに残ることは少なく、そのまま帰宅しているのを何度も目にしていたからだ。私はそれでも、最後のひとつの希望に掛けて見たかったのだ。


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世界47カ国女子バックパッカーができるまで(16)

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