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16/10/31

Life goes on, Chapter 3 -prelude-

Image by Olia Gozha

あああああぁぁぁぁ・・・・


脱ぎ散らかしたドレス、ベッドの隣に寝ているはずの彼がいない。

そうだ、昨日は・・・・


彼と出会って付き合いだして1年。それまでの人生も、そりゃあいろいろあったけれども、ここ直近の2年間と比べたらへのかっぱである。その一番しんどい時期を一緒に支えてくれた彼に見せてしまった失態。

初めて、の失態ではない。

恥ずかしながら、付き合いだして2度ほどお見せしてしまった。でも、過去2度の失敗は笑って許されるものだった。誰かを傷つけたり、迷惑をかけるほどのものではなかったから。


「君、昨夜のこと、ちょっとでも覚えている?」

冷たーい視線で見つめられる。

今までこんな冷たい目で見られたことって、なかったよ・・・・。

そう、私は久しぶりにおめかしができて(仮装、と言ったほうがいいのだけれども)、お酒が飲めて、大人だけが集まって楽しめる夜に期待しすぎて、お酒を飲みすぎてしまった。


そして、彼の友人に、彼の目の前で「その気にさせてあげようか」的な態度を取ってしまったそうだ(そうだ、というのは、この部分に関してはほとんど覚えていないのだ)。


はっきりと覚えているのは、パーティーから戻り、家に入るのを待てずに、ガレージで戻してしまったこと。

その吐瀉物を、彼が黙って片づけてくれたこと。


また戻したら大変だから、ということで、ベッドのマットレスの上に、片づけやすい寝袋を敷いてくれていたこと。

きちんとパジャマまで着せてくれていたこと。


パーティーの途中で、別のお店のパーティーに行った、あれがまずかった・・・・。

なぜなら、そのお店こそ、私が全く行くべき場所ではなかったからだ。

お酒の抜けた、正常な思考をもってすれば、即「私は行かない」と選択できるのに。


お酒が悪いわけではない。

でも、こういうお酒の飲み方をする私が、私は心底嫌いだ。


パーティーの翌日、日曜日。

彼は朝から黙って家を出ていき、夜戻ってきた。

抱きつこうとしたら断られた。

帰ってきてくれただけ感謝なのだけれども。

黙ってご飯を食べる。

「ごちそうさま、おいしかった」

と律儀に言う彼。それも又悲しい。


私は彼に抱きつきたくて仕方なかったけど、自分がしたことを考えたら、そりゃあ拒否されるのも無理はない。


でも、拒否されると、又あの嫌な思いが蘇ってくる・・・・・。


彼は怒っている、というより、ショックなのだ。自分が信じてこれからを共にしようとした女が、あんな醜態をさらしてしまったことが。


私には、ここ2年ほどで嫌というほどトラウマになる出来事が起きた。

それは、一朝一夕に解消できるものではない。自分ではもう克服できた!と思っていても、こうやってお酒を飲んだりすると、一気に出てくる、その時の嫌な思いはなかなか消えない。


彼はいい人だけれど、そのあたりが理解できないみたいだ。

トラウマなんて、後付けで言ってることだ。

17歳で軍に入隊し、幾度となく戦地にも行ってきた経験がある彼だからこそ、言えることなんだろうけれども、残念ながら、あなたほどの消化酵素を、私は記憶のシステムに持っていないんだよ。


でも、私は言い訳が嫌い。犯してしまった失態をあれこれ取り繕う気はさらさらない。


私は、それまで何度となく掲げて、しばらくは成功したものの、結局ダメになってきた目標を立てた。

                 「禁酒、禁煙」

今回で最後の目標とすることに決めた。






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