ホームレスと交際0日婚をした私がやっと見つけた幸せの形 ②ホームレスと交際するという事
1泊2日のキャンプの中盤、夜の9時ごろだっただろうか。ちょっとしたアクシデントが起きた。その時、私たちは、みんなで火を囲みながら一風変わったカードゲームをしていた。
それは順番にカードを引き、そこに書かれた文章を読み上げ、周囲の人はその理由を当てるというゲームだった。その文章というのが変わっていて、こんな具合だった。
「裸で鉛筆を持って倒れて死んでいる男がいる。なぜか?」
一見して不条理な内容。カードを引いた人間に色々質問して、正解を探っていく。
「それは、どんな場所でしたか?」
「男は1人でしたか?」
「鉛筆は使われた形跡がありましたか?」
正解が分かったからといって、特に何もない。しかし当てるのがかなり難しく、みんなでああでもない、こうでもないという時間が楽しかった。
そんな時だった。上のコテージにいる大学生が大声で騒ぎ出した。10人ぐらいで酒でも飲んでいるのだろうか、尋常でない声の大きさだった。イラッとしてキャンプが台無しになるところだったが、しばらくすると急に静かになった。
どうやら彼が注意してくれたらしい。
私が「うるさいのがやんだね」と話しかけたら、彼は「怖い人たちだったら言えなかったけどね、ははは」と照れくさそうに話し、次の瞬間、彼はぬかるみに足を取られて転んだ。
ちょっと格好いい行動をした後のズッコケが最高で、私たちは全員で笑い転げだ。それは、私の中の何かにスイッチが入った瞬間だった。
その後、私達は2人で話をした。
彼は元々親とソリがあわなかった事。高校を中退した事。その後、大検をとって大学に入って就職したものの、仕事に馴染めずに辞めてしまい、ニートになった事。でもやっぱり家でニートをしていても仕方ないと思い東京に出て来て、ハッカーハウスというシェアハウスに住むようになり、仲間が沢山できた事。キャンプに来ていたメンバーとも、そのシェアハウスで出会ったのだという。
とにかく沢山の話をしたけれど、私の記憶に一番残っているのは、彼は笑うと顔がクシャッとなる事だった。3歳年下の彼の顔は、特にタイプという訳ではなかったけど、どこか私の母性本能をくすぐり、私は素直にかわいいと思った。
※ ※ ※
キャンプから帰り、家で彼のブログを読んでいたら、携帯がピロンと鳴り、メッセージが届いた。
キャンプお疲れ様でした!
楽しかったです。
白濱さんめっちゃ面白かったんでサイトとか動画とかめっちゃ見たけどさらに大好きになりました!
また、遊んでください!
ところで、山下慶二と共通の友達でびっくり!名古屋時代の知り合いですか?僕の地元の同級生です。
読み終えた瞬間、私の中で楽しかった記憶が吹き飛びんだ。
「さらに大好きになりました」
という部分に目が釘付けになった。
胸がドクンドクンと音を立てて鳴り、水平線が傾いた。
「さらに大好きになりました」
何度も何度もその言葉を読み返し、嬉しすぎて、すぐに私もメッセージを返してしまった。
ありがとう!
わたしも、たまのぶのブログ読んだよ。わたしも、たまのぶ人間らしくてすきだよー
またあそぼー (^∇^)
後で読み返したら、彼との共通の友人の事には一切触れていなかった。きっと、何かが弾け飛んでいたのだろう。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?

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