中学の友人からの突然の電話、ついていったらこうなった!? 2

前話: 中学の友人からの突然の電話、ついていったらこうなった!?

会議室の教壇のような場所へ「講師」らしき人物が立った。

S曰く、とてもタメになるいい話が聞けるから、ノートにメモを取らないとダメとのこと。

Sはそう言って自分のノートを開いた。

Sのノートにはビッシリとメモが書かれている。

講師の言葉を一言一句間違えず、全て書き写しているみたいだ。

講師らしき人物が教壇に立つと、一斉に拍手が巻き起こった。

拍手しているのは2人1組で連れて来たほうの人間。ようするにSのような人たちが拍手をしている。

それにつられて、連れてこられたほうも拍手する。

何の儀式だ? これ・・・・

拍手で始まった講義は実に退屈なものだった。

そりゃそのはず、大半が「美顔器」の説明なのだ。

美顔器なんて全く興味がないし、買う気もサラサラないので本当に退屈。

しかしSは必至にメモを取っている。

時々チラチラこちらを見て、小声で「メモ取らないとだめだよ!」と指摘してくる。

面倒くさいので頷きながら、適当にノートには絵を書いていた。

「美顔器」の説明が終わると、この「美顔器」は自社開発製品で、ココのこの場でしか買うことが出来ないと言い始めた。

かなり雲行きが怪しくなってきた。

しかも更にこの「美顔器」は「今」しか購入出来ないのだと言う。

欲しいと思って量販店(ビックとかヨドバシとか)に行っても、量販店には卸していないので買うことが出来ない。

後から買うことも出来ない。買うなら今しかない。

そして、これはあなたの人生のビックチャンスでもあります。

と講師らしき人物が言い出しました。

そうです、この講義の最終目的は「美顔器」を参加者に買わせることだったのです。

講義を聞いている周りの人たちもざわつき始めます。

それもそのはず。この「美顔器」ですが、1,2万で買えるならともかく

値段が数十万もする高価な代物なのです。

当然、参加者が現金で一括払いなど出来るわけがありません。

ここも巧妙に仕組まれています。

(SとMにはスーツ着用、筆記用具持参の他に印鑑も持ってきてと言われている)

印鑑を持って来い⇒ローン契約をこの場でさせるのです。

月5000円から1万円のローンを組ませ、数十万の「美顔器」を購入させようというわけです。

でも普通に考えれば、いきなり数十万もする「美顔器」を買うわけありませんよね。

ここで講師がこんなことを言い放ちます。

「これはあなた方の未来への投資なのだ」と。

ようするに、この美顔器はもちろん美顔器として使用することも出来るわけだが

それ以外にも「ビジネス」としての側面もある。

この美顔器を購入することによって、あなたは私達の仲間となり、一緒にビジネスを展開していくことが出来る。

このビジネスは早期参入すればするほど、有利になる。あなた方は今チャンスの目の前にいるのだ。

そして詳細の説明が始まった。

まず美顔器を今日購入(契約)する。

購入するとビジネスに参加出来る権利が与えられる。

権利を得たら、あなたは友人や知人をこの場に連れてくるだけで良い。

あなたの友人や知人には、私達優秀な講師や先輩が美顔器の説明、ビジネスの説明をする。

あなたが連れてきた友人や知人がこのビジネス(美顔器)に賛同し、美顔器を購入(契約)すると、あなたに報酬が入る。

あなたが知人や友人を毎週1人連れてくるだけ(もちろん契約が必須)で、1人につき数万円の報酬をゲット出来る。

ようするに、毎週1人1ヶ月4人連れてくれば、あなたは毎月10数万円の報酬をゲットすることが出来る。

あなたが連れてきた知人や友人が「3人」美顔器を購入した時点で、あなたはランクアップして報酬の額が1.5倍に増える。

同時にあなたの肩書もランクアップする。

(このランクアップは連れてきた知人や友人も該当するため、連れてきた友人知人がランクアップすると

雪だるま式に自分も更にランクアップする。ようするにマルチ商法である)

一通りの説明が終わると講義は終了した。

講義の中で強制的に美顔器を買わせることはしないようだ。

少し安心して帰る準備をする。

しかしここで終わりではなかった。

講義が終わると、そのまま懇談会が始まったのだ。

逃げることは許されない。

完全包囲網が敷かれ、参加者達は講義会場からそのまま1人残さずカフェスペースへ連れて行かれた。

カフェスペースは広く、丸テーブルが数多く置かれている。

2人1組の参加者はそれぞれ1つの丸テーブルにペアで座らされた。

空いた席には、見知らぬ人たちがすぐに座り始めた。

Sの先輩のようだ。

丸テーブルには椅子が8脚ほどあり、Sと俺で2席。それ以外の席にはSはの先輩が座った。

するとSが契約書をテーブルに置いた。

S「ケイタ、講義どうだった?」

ケ「うん まあ・・・」

S「じゃあとりあえず、これ書いていこうか」

ケ「えーと、これは何?」

S「講義でも説明あったでしょ? 美顔器の契約書だよ」

ケ「いや、美顔器買わないけど」

S「え?! どうして?! 講義聞いてなかったの?」

ケ「聞いてたけど、俺には必要がないから買わないよ」

S「どうして?!」

ケ「どうしても何も必要ないし」

S「これはとてもいい商品なんだよ、今しか買えないんだよ?」

ケ「いやだから必要ないんだって」

するとここまでのやり取りを聞いていた周りの先輩たちが口を出し始めた。

「ケイタくん、これはチャンスなんだよ」

「ケイタくんには必要ないかも知れないけど、ご家族の方はどうかな、お母さんとか喜ぶんじゃないかな」

「今日買わないと絶対後悔するよ」

「僕達も最初は半信半疑だったけど、買って後悔してないよ」

「一緒にビジネスをやろうよ、お金持ちになりたいでしょ?」

「せっかく今日来たんだから、これも何かの縁だよ。一緒にビジネスしよう」

S「今日印鑑も持ってきたんだよね、とりあえず月1万円くらいだし買ってみようよ」

ケ「印鑑? 持ってきてないけど」

そう、俺はSとMに印鑑を持ってくるように言われていたのだが、危険を察知して印鑑は持ってこなかったのだ。

すると周りの先輩達の雰囲気が一気に悪くなった。

Sは絶句という表情をしている。

席に座っていたSの先輩が1人席を立ち、誰かを呼びに行った。

程なくして、この丸テーブルの上司という人物が現れた。

この上司はかなり高圧的なヤツだった。

上司「おまえ、今日何しに来たの」

ケ「Sにつれてこられたんですが」

上司「そうじゃない、ココに何しに来たのかって聞いてんの」

ケ「だから、Sに連れてこられたんです」

上司「そうじゃねーよ!何しに来たんだって聞いてんの」

ケ「は?

上司「お前、おれのことおちょっくってんの?」

ケ「・・・・・」全く会話が噛み合わない、何言ってんだこの人

上司「黙ってね~で何か言えよ」

ケ「・・・・」

丸テーブルに座っている他の先輩、Sも黙っている。

この上司はかなりランクが上の人物のようだ。

上司「で、お前はさ、何なの」

ケ「何がですか」

上司「買うの、買わないの?」

ケ「買いませんが」

上司「お前さ、ほんとおちょっくってんだろ」

ケ「は? 意味わかんないんですけど」

上司「だめだ、お前みたいなやつ俺一番ダメだだわ」

ケ「そうですか」いや俺もお前みたいなのダメだわ、話通じないんだもん

上司「お前、友達いないだろ」

ケ「は?」

上司「お前みたいなやつはさ、友達いねーだろ」

ケ「・・・・・」

いやそもそも、マルチ商法に知人や友人勧誘しまくってるお前は友人いないだろ・・・・

と言いたいところだったのだが我慢した。完全アウェイだし、何とかこの場から脱出しなければいけない。

上司「で、どうするの?」

ケ「何がですか」

上司「契約してくの?」

ケ「しません」

上司「はぁぁぁ・・・・ ほんとお前ダメだわ。」

ケ「そうですか」

上司「お前、、、外でみたらヤルからな! 覚えとけよ」

丸テーブルはシーンとしている。

Sは黙ってうつ向いたままだ。他の先輩達も黙っている。

抜け出すチャンスは今しかない。

ケ「そうですか、わかりました。じゃあこれで帰りますね」

そういって席を立ち、振り返りもせずにそのまま出口へ。

このビルの真向かいに交番があったのを思い出し、まずはビルをでてすぐに道路を渡って交番に向かった。

もし誰かが追いかけてきて殴りかかってきたとしても、交番前までいけば安心なはず。

それに誰か追いかけてくるなら交番に相談すればいい。

しかしビルを出ても誰も追いかけてはこなかった。

当然SもMも追いかけてこない。

少し用心しながら電車に乗って帰宅したが、特に問題なく帰宅出来た。

その後、SやMから一切連絡は無かった。

脈がない人間に長々と時間を使うよりも、新しいカモを探したほうが手っ取り早いからだろう。

恐らく、気が弱そうな人間

押しに弱そうな人間を探して連れてきているのだと考えられる。

しかしSに関して言えば、Sと俺はさほど仲が良いわけでもないし、クラスも違えば部活も違った。

何の接点もないのに、恐らく昔の中学校の名簿を見て電話かけてきたんだと思うので

身近な友人は勧誘し尽したから、他のクラスの人間にまで電話をかけているんだと考えると、Sも落ちたなと思う。

部活では確かキャプテンくらいやってた人気者だったのに。

マルチ商法って怖いですね


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