看護師として生きる

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精神科実習①。



全然想像が付かない世界。


私の受け持ち患者さんは


もう社会復帰間近のおばちゃんだった。




受け持ち患者さんに関わる前に

一通り病棟実習があった。


男子閉鎖病棟。

女子閉鎖病棟。

解放病棟。




決まり事。

・ナースステーションは施錠してあるので、一旦病棟に出たら中の看護師に言って開けて貰う事。(実習生は鍵は渡して貰えないから)

・コミュニケーション時は否定はしない。曖昧な態度は取らない、いい加減な事は言わない。

・部屋に誘われても行かない。

・じっと見ない。

そんな何ヶ条もの決まり事があった。



実習初日は実習責任者の人が



施設内を説明してくれた。



男子閉鎖病棟の中に


鍵付きの扉があって


そこも見学させてくれた。



中には鉄格子。

テレビで見る刑務所みたいな。


「中には余計な物はありません。」


本当だ、便器に蓋がない。

布団にもシーツがかけてない。


「シーツで死ぬ場合があるので付けてません。」


あぁ、そう言う事か。


本当に何にもない部屋。

プライバシーもない。


その隣にも同じ鉄格子が見えた。



責任者の人が

「○○さん、こんにちわ。実習生の施設説明です。」


と中に声を掛けている。



ん?



と思い、隣の部屋をのぞくと




!!




太巻き!?



まさに人間太巻き…。




中身が人で外身が布団。


そしてヒモみたいなものでぐるぐる巻き。



「こ、こんにちわ…。」



と言うと



「こんにちわ。」



と薄笑い。




「さ、次行きますよ。」


と責任者の人が言うので


そそくさと退室した。



鍵を閉めながら、

「彼は昨日暴れたんですよ。」

と。



だからか。


でも、



衝撃…




他にも、水道に鍵が付いてて

蛇口が回せなくなっている部屋もあった。


ひたすら水を飲むのを防止する為だと。



ひたすら水を飲む…?



なぜだ?




いや、それが精神科だ。



壁に座布団がくっついていた。



あれは何だろう?


と思いながら聞けなかった。



後日、その座布団に


ひたすら頭をぶつけている人がいた。


キツツキのように


一定のリズムで頭をぶつけている。



怪我しない為の座布団だった。



見る事見る事が

頭の中でハテナで、

やっぱりじっと見てしまう。



いかん、いかん。


見たらいかん。







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