狂喜乱舞のハイタッチ

次話: おかえり、天才

髙萩洋次郎が日本に帰ってくるかもしれん。


2013年7月13日(土)J1第16節サンフレッチェ広島vsセレッソ大阪の後半アディショナルタイムの決勝ゴール。


あれは、一生忘れられん。


日本代表の柿谷曜一朗、山口蛍を筆頭に、テンポの早い巧みなパスワークと広島対策で統一された固い守備のセレッソ大阪に、サンフレッチェ広島は終始苦しめられた。


ミスが許されない白熱した試合内容に、ギリギリまで引っ張られた弓矢の如く半端ない緊張感で包まれたエディオンスタジアム広島。


時が進むにつれて、選手と観客が一体化していった。


0-0のスコアのまま、第四審判がいよいよ後半のアディショナルタイムを告げる。


「何をチンタラしとるんね!早よ決めんさいや!」


と野次が飛んでもおかしくないスコアでも、誰ひとりとしてそんなことを口にする人はいなかった。


寧ろ、今までに見たことがないほどの尋常じゃない後押しの声と手拍子の数々。


「守ってェー!」

「集中!」

「惜しい!」

「最後まで!」


スタジアムにいた誰もが最後まで勝利を掴み取ることを諦めていなかった。


アディショナルタイムも終わりが近づき、セレッソが最後の力を振り絞って猛攻を仕掛ける。


それをサンフレッチェの守備陣が弾き返した。


「ここじゃーーー!!!うぉりゃあああ!!!」


ここまで耐えて耐えて張りに張り上げてきたサンフレッチェの矢が、ついに解き放たれた。


一気に逆襲を仕掛ける。


セレッソにはそれを耐えられるだけの力は残っていなかった。


髙萩洋次郎の決勝ゴール。


フィールドでは選手とスタッフが、スタンドでは老若男女の見ず知らずの人々が、互いに抱き合い、手を取り合って、狂喜乱舞した。


壮観だった。


まわりにいた子どもたちがハイタッチを求めてきた。


ボクはまわりの目もはばからずに号泣した。

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おかえり、天才

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