和をもって尊しと成す⑶

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K子先生はT恵が小学校に入学するにあたり、彼女を主に担当してくださるために来てくださった補助の先生でした。

トイレトレーニングのできていない子が入学するのは初めてのケースで入学前にもいろいろ話し合いが持たれたのですが、普通の小学校の先生というのは他人の子の下のお世話をするということはまずないので、それを覚悟で来てくださったK子先生には本当に頭の下がる思いでした。

K子先生はT恵をわが子のように可愛がってくださり、彼女にいろいろな事をできるようにさせてあげたいという思いは私よりも熱く、かなりの情熱を注いでくださっていました。

ときどき、K子先生は「できる」ことだけが大事だという成果主義なのではないだろうか……

わたしはできることよりも如何に楽しく毎日を生き生きと生きられるか、できるかどうかよりその過程の方が大事だと思うのに……

K子先生とは考えが合わないのでは……という疑念を抱いてしまうほどに。

できないことをできるように。 できることが、もっとよくできるようにー。

そうした方向は間違っていない、と私も思います。

それが教育だと。

でも、何でも努力すればできるようになるというものではないのも事実です。

特に発達障害のこどもたちには脳の機能的に、努力でなんとかなるものではない、絶対的に苦手な事があります。

それは生まれつき駆けっこが遅い子どもに「何メートルを何秒以内で走れ」と言っているようなものではないか?

発達障害の子どもたちが一番つらいのは、「無理解なのに熱心な人」なのではないか?

そのような思いが、口には出さなくてもわたしの根底にはずっとありました。

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和をもって尊しと成す⑷

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