【最終回】夏の思い出よ、永遠に...。

前話: 【12話】花火



花火を見終えた後、僕達はシオンに帰った。

カオの腕を引いて、自分の部屋に連れていった。

ちょっと強引だと思ったが、この夜がお互いにとって最後の夜になることがわかっていたから、後悔したくなかった。カオも嫌がら素振りを見せずについてきてくれた。

翌朝、眩しい光と共に目を覚ました。横にはキャミソール姿のカオが静かに寝ている。

静かに名前を呼ぶと、嬉しそうに微笑んで目を覚ました。

二人抱きしめあい、キスをした。

最後の夜、彼女を部屋に誘ってよかった。


その日の午後、カオは荷物をまとめてシオンを出た。

僕は彼女の最後の見送りをするため、一緒に駅まで行くことになった。

一緒に駅のホームに向かう足取りは重かった。カオは一度家に帰り、夏休みを終えたら、すぐに中国に帰国すると教えてくれた。

ホームは、がらんとしていた。時間はまだ少しあった。

そこで彼女はある歌を口ずさんだ。

カオ
いつも輝いていたね。少年のまま 瞳は My Friend~♪

それは僕が好きなZARDの歌の歌詞の一部分だった。

なんでその歌を知ってるの?
カオ
ケイさん、いつもこの歌聞いてたから練習してたんです。

彼女の歌声が心地良い。彼女は最後まで愛おしかった。

やがて電車がやってくるのが見えた。

僕はすぐに今の気持ちを言葉で伝えた。

カオ、ずっと好きだよ。
カオ
えっ...。

彼女の返事を聞く前に僕は彼女を抱きしめた。

電車のドアが開いた。カオは静かに僕の耳元にこう囁いた。

カオ
私もずっと愛しています...。

彼女を離すにも離せない。だが無情にも電車の発車の合図が鳴り響いた。

僕はカオをゆっくり離した。

ドアが静かに閉じる。彼女は僕達はずっと見つめあった。

電車がゆっくり動きだす。やがて彼女の姿は見えなくなった。

僕は彼女を乗せた電車を見えなくなるまで、見続けようとした。

だがそれはできなかった。涙が僕の目に溢れ出してしまう。

止めようともしてもどうしてもかった止められなかった。

彼女は凛と咲くユリの花。

きっとどこにいても、美しく、気品と優しさに溢れて、生きていくだろう。

そして誰よりも頼りになる旦那さんを見つけて素晴らしい人生を送るだろう。

だから心配はいらない。

僕はそう強く思い、願った。

こうして、甘くてどこか切ない夏の思い出は、終わりを遂げた。

それから2年後。

僕は東京に帰ると、またSEとして転職し、会社員として再び社会の歯車として働き始めていた。

転職はしたものの、同職種のため対して苦労することなく、仕事に順応できた。

仕事の休憩中、新しい同僚と仲良くなった。歳も近くて話があった。

彼は物知りで色々なことを教えてくれた。仕事に早く順応できたのも彼の助けがあったの大きい。

今度の職場ではうまくやっていけそうな気がした。

ある日、彼が画面に食い入るような真剣な顔であるサイトを読んでいた

彼に何のサイトか聞いてみた。

「あぁ!」彼は僕がいるのも気がつかないくらい集中していたようだった。

新しい同僚
STORYS.JPって言って自分の体験や過去の話が読んだり、書いたりできるサイトなんだよ。普段読めないような体験とか読めてけっこう楽しいよ。
へぇ~。面白そうじゃん。

そのSTORYS.JPの事が気になりつつも、仕事に集中して忘れた。

家に帰り、シャワーを浴びる。ビールを片手に、ソファーに転がり、パソコンのスイッチをつけた。

ふと昼に、同僚が読んでいたSTORYS.JPのストーリーを読みたくなった。

STORYS.JPを検索してみんなのストーリーを読んでみる。

みんな色々な経験してるんだな~。

自分には誇れる経験や、みんなを驚かせるようなたいそうなことはしてない。文章力もたいしたことがないし、読めても書ける資格なんてないな。

(あれ?まてよ。あの夏の思い出は、けっこうドラマチックだったよな...。)

そう思いながら、パソコンをいじりながら、自分も突然何か書いて見たくなった。

タイトルは何にしよう...。

「そうだ!」

ひと夏の思い出が甦り始めた。

今なら書ける。

僕はStorys.jpのタイトル欄にこう文字を打ち込んだ。  

~ひと夏の恋はいきなりやってきた~


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