カルト教団の長老(幹部)だった話

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幼少の頃から、エホバの証人というカルト社会しか知らず、カルトの中で育ち、カルトの中で人格形成をして、カルトの中で幹部になるまでの話。

カルト教団の長老というと、なんだか恐ろしい響きだが、いざやってみると大したことではなく、地域の教団のメンバーを神に委ねられた羊とみなして、神の道へと導くお世話をする、というだけである。それも自分が覚醒した今となっては全て空想の世界の話であることは分かっている。

私が長老になったのは、31歳の頃であった。歳が31歳なのに長老という役職に任命されてしまうとは、ほとほとおかしな話だ。それまでは、いわばカルトの英才教育を受けて育った。幼少時代から、聖書の手引書を勉強させられ、幼稚園時代から、母と宣教活動をさせられ、小学校にあがると、会衆の神権宣教学校という学校で、皆の前で聖書の話をさせられた。

そして、小学5年でいわゆる会衆の成員となる。つまりカルト教団の伝道者という名のメンバーとなったのだ。こうして私はカルトの中で順調に育ち、カルト思考のロボットみたいな人間となった。

思考の源は、ほとんど独自の聖書に基づいたものだったから、世間の同世代の子供たちとはほとんど話が合わなかった。

カルト以外の世界の情報、つまりテレビやラジオ番組の視聴も禁止されていた。だが、そういうキマリを従順に守るような人間はカルト教団にとっては、都合が良いらしく、いろいろと重宝されてきた。

だから、中学生になるころには、カルトのいわゆる模範的な子供として、年に一回のカルトの大会で経験を話したり、インタビューを受けたり、話をしたりしてきた。

だが、一方で学校内ではしばしば派手に喧嘩をしたり、先生には反抗したりして、問題を起こしていた問題児だったのである。

おそらく、カルトで溜め込んだ鬱憤を学校で発散していたのだろう。


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