カルト教団の長老(幹部)だった話 その2
前話:
カルト教団の長老(幹部)だった話
カルトで抑圧された感情を学校という場で解き放ってはいたものの、カルトの人間は母以外その事実を知らない。
そして、母はそれを見て見ぬフリである。カルトの人間に、実はウチの子はこんなに悪い子なんです、なんて絶対に言わない。なぜなら、そんなことをすればカルトでの自分の立場が危うくなるからだ。
こうして、学校ではいろいろと問題を起こしながらも、カルトの中では優等生であり続けた。ある意味、二面性を持つ人間になっていたのである。
だが、カルトで幼少期から模範的と見られていたものだから、周りの大人の信者たちからもずっと期待をかけられていた。
それが、会衆の長老に伝わり、地域の監督にも伝わった。いわゆる巡回監督と呼ばれ、定期的に会衆を訪問するカルトのオブザーバーである。
こうして、私はカルト内で、数々の特権を得ていく。一方で母はカルトへの奉仕のために全時間働くという、開拓奉仕者と呼ばれる立場につき、カルト内で活躍していった。
親子共に強烈なマイコン信者は、カルト内でのモデル家族のようになり、ますます、組織に都合よく用いられるようになるのだ。
こうして、私が長老になるまでには、そこに至るまでの様々な経緯があった。
そして、我々、親子はその点で一度も失敗しなかった。つまり模範的であり続けたのである。
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